進行卵巣:腹膜癌に対する腹腔内化学療法確立のための研究

文献情報

文献番号
201119014A
報告書区分
総括
研究課題名
進行卵巣:腹膜癌に対する腹腔内化学療法確立のための研究
課題番号
H21-がん臨床・一般-014
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 恵一(埼玉医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 竹内 正弘(北里大学 薬学部)
  • 杉山 徹(岩手医科大学 医学部)
  • 紀川 純三(鳥取大学 医学部)
  • 吉川 裕之(筑波大学 医学医療系 )
  • 青木 大輔(慶応義塾大学 医学部)
  • 勝俣 範之(日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科)
  • 鈴木 光明(自治医科大学 産科婦人科)
  • 青谷 恵利子(北里大学 臨床薬理研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
14,344,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
卵巣癌における、カルボプラチンの腹腔内投与の有用性と安全性をdose-dense パクリタキセル併用で検証する。
研究方法
本試験は、プロトコル検討委員会での十分な審議の結果、多施設共同ランダム化第2/3相比較試験として計画立案、遂行することとなった。
対象症例
開腹手術を行い、進行期2期から4期と診断された上皮性卵巣癌、原発性腹膜癌、卵管癌患者で、十分な臓器機能を有したものとする。
dd TCiv療法 Paclitaxel: 80mg/m2 qwk Carboplatin:AUC=6.0 1時間点滴静注 Day1
dd TCip療法 Paclitaxel: 80mg/m2 qwk Carboplatin:AUC=6.0 one shot腹腔内投与 Day1
3週(21日)を1サイクルとして6から8サイクル繰り返す。
有効性及び安全性の評価
Primary Endpoint: Progression-Free Survival (PFS)
Secondary Endpoint: Overall Survival (OS)、奏効率、QOL調査および医療経済評価 安全性評価は、血液毒性および非血液毒性をNCI-CTC AE Ver 4.0を用いて評価する。すべてのデータは、北里大学臨床薬理研究所臨床試験コーディネーティング部門にデータセンターを置き、独立したデータ管理と統計解析をおこなう。目標症例数は、746例とする。
結果と考察
本研究は高度医療評価制度下で行う我が国初の第3相大規模比較試験であったため、事務局、施設ともに初体験のことが多く、準備に相当の期間を有した。特に、本制度のもとで大規模比較試験を行うには、製薬メーカーによる薬剤無償提供は不可欠であり、今後のモデルとなり得たと思われる。さらに、将来の健康保険承認を目指す試験としてのQA, QCを担保することと目的として、厚労科研費から施設への研究協力金の支払いを行う、新たな試みを開始した。これがどのように役立つかの検証も必須と考えられる。
平成24年5月21日現在、101例の症例が集積されている。また、海外の試験グループおよび施設との契約交渉も進んでおり、今後の症例登録が加速することが期待される。
結論
本研究は、現在海外で行われている第3相比較試験とともに、卵巣癌の標準治療を確立するために極めて重要な試験といえる。特に、卵巣癌化学療法のキードラッグであるカルボプラチンIP療法の有用性を検証するという、最も根幹となるクリニカルクエスチョンに挑戦したものである。一日も早く登録終了し解析をすることが重要である。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

文献情報

文献番号
201119014B
報告書区分
総合
研究課題名
進行卵巣:腹膜癌に対する腹腔内化学療法確立のための研究
課題番号
H21-がん臨床・一般-014
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 恵一(埼玉医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 竹内 正弘(北里大学 薬学部)
  • 杉山 徹(岩手医科大学 医学部)
  • 紀川 純三(鳥取大学 医学部)
  • 吉川 裕之(筑波大学 医学医療系 )
  • 青木 大輔(慶応義塾大学 医学部)
  • 勝俣 範之(日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科)
  • 鈴木 光明(自治医科大学 産科婦人科)
  • 青谷 恵利子(北里大学 臨床薬理研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
卵巣癌における、カルボプラチンの腹腔内投与の有用性と安全性をdose-dense パクリタキセル併用で検証する。
研究方法
本試験は、プロトコル検討委員会での十分な審議の結果、多施設共同ランダム化第2/3相比較試験として計画立案、遂行することとなった。
対象症例
開腹手術を行い、進行期2期から4期と診断された上皮性卵巣癌、原発性腹膜癌、卵管癌患者で、十分な臓器機能を有したものとする。
dd TCiv療法 Paclitaxel: 80mg/m2 q1wk Carboplatin:AUC=6.01
dd TCip療法 Paclitaxel: 80mg/m2 q1wk Carboplatin:AUC=6.0 one shot腹腔内投与
3週を1サイクルとして6から8サイクル繰り返す。
有効性及び安全性の評価
Primary Endpoint: Progression-Free Survival (PFS)Secondary Endpoint: Overall Survival (OS)、奏効率、QOL調査および医療経済評価安全性評価は、血液毒性および非血液毒性をNCI-CTC AE Ver 4.0を用いて評価する。すべてのデータは、北里大学臨床薬理研究所臨床試験コーディネーティング部門にデータセンターを置き、独立したデータ管理と統計解析をおこなう。目標症例数は、746例とする。
結果と考察
本研究は高度医療評価制度下で行う我が国初の第3相大規模比較試験であったため、事務局、施設ともに初体験のことが多く、準備に相当の期間を有した。特に、本制度のもとで大規模比較試験を行うには、製薬メーカーによる薬剤無償提供は不可欠であり、今後のモデルとなり得たと思われる。さらに、将来の健康保険承認を目指す試験としてのQA, QCを担保することと目的として、厚労科研費から施設への研究協力金の支払いを行う、新たな試みを開始した。これがどのように役立つかの検証も必須と考えられる。
平成24年5月21日現在、101例の症例が集積されている。また、海外の試験グループおよび施設との契約交渉も進んでおり、今後の症例登録が加速することが期待される。
結論
本研究は、現在海外で行われている第3相比較試験とともに、卵巣癌の標準治療を確立するために極めて重要な試験といえる。特に、卵巣癌化学療法のキードラッグであるカルボプラチンIP療法の有用性を検証するという、最も根幹となるクリニカルクエスチョンに挑戦したものである。一日も早く登録終了し解析をすることが重要である。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201119014C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究で我々が行っている臨床試験は、卵巣癌に対するカルボプラチン腹腔内化学(IP)療法の有用性を検討する第3相比較試験である。卵巣癌は早期から腹腔内に播種することから、IP療法は理論的に優れた治療法である。これまでにシスプラチンを用いた第3相比較試験でその有用性が示されてきたが、毒性が強いため標準治療として受け入れられない状態が続いている。これを打破するためには毒性が軽いカルボプラチンを用いた比較試験が必須である。目標症例数654例に対しこれまでに634例が登録されている。又、日本初の医師主導国際臨床試験として、5ヶ国が参加している。
臨床的観点からの成果
日本婦人科腫瘍学会から発刊されている卵巣癌治療ガイドラインでは、IP療法はエビデンスレベルが1であるにもかかわらず推奨グレードは記載されていない。その理由は、毒性の問題が解決されていないからといえる。本研究はこの点を解決するための極めて重要な試験と位置づけられる。
ガイドライン等の開発
該当せず
その他行政的観点からの成果
卵巣癌に対するカルボプラチンの投与は静注のみが保険適応を持っているが、IP投与は認められていない。その有用性には期待されているにもかかわらず、まれな疾患であるため、メーカーが適応拡大の治験を行う計画はない。したがって本研究は高度医療評価制度下で行うことが我が国の保健医療行政上もっとも適切であると考えられる。本研究は高度医療評価制度を用いた我が国初の第3相比較試験である。そのため試験開始までの手続き、開始後の運営には未経験ゆえの苦労が多かったが、問題点を一つずつ克服しながら現在遂行中である。
その他のインパクト
該当せず

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
2014年4月18日 日本産科婦人科学会 専攻医セミナーで発表
学会発表(国際学会等)
3件
9/13/2011 ESGO, 11/4/2011 ASGO, 5/10/2015 IGCS Regional Meetingで発表
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
今後本試験の解析結果によって有用性が証明された時点で、カルボプラチンIP療法の保険診療が承認される予定である。
その他成果(普及・啓発活動)
1件
Web上に本試験の解説(患者向け)ビデオクリップを作成し、公開した。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Fujiwara K, Aotani E, Hamano T, et al.
A randomized Phase 2/3 trial of 3 weekly intraperitoneal versus intravenous carboplatin in combination with intravenous weekly dose-dense paclitaxel for newly diagnosed ovarian, fallopian tube and primary peritoneal cancer.
Jpn J Clin Oncol, , 41 (2) , 278-282  (2011)

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2016-06-06

収支報告書

文献番号
201119014Z