再発・難治性骨髄腫に対する至適分子標的療法の確立と生物学的治療予測因子の探索

文献情報

文献番号
201119011A
報告書区分
総括
研究課題名
再発・難治性骨髄腫に対する至適分子標的療法の確立と生物学的治療予測因子の探索
課題番号
H21-がん臨床・一般-011
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
飯田 真介(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科 生体総合医療学講座 腫瘍・免疫内科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 渡辺 隆(国立がん研究センター中央病院)
  • 大間知 謙(東海大学医学部 血液腫瘍科)
  • 木下 朝博(愛知県がんセンター中央病院 血液・細胞療法部)
  • 畑 裕之(熊本大学医学部附属病院 血液内科)
  • 村上 博和(群馬大学保健学科 検査技術科学)
  • 黒田 純也(京都府立医科大学 血液・腫瘍内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
12,705,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
再発・難治性の多発性骨髄腫に対するセカンドライン療法として、bortezomib + dexamethasone併用(BD)療法とthalidomide + dexamethasone併用(TD)療法のランダム化第II相試験をJapan Clinical Oncology Group (JCOG)リンパ腫グループで実施し、1年無増悪生存(PFS)割合をプライマリーエンドポイントとして比較し、より有効性の高い治療法を選択する。セカンダリーエンドポイントとして、腫瘍病型を特徴付けている染色体転座病型がBD療法およびTD療法における治療予測因子となりえるかどうかについて検討し、層別化治療の可能性を探索する。
研究方法
平成22年1月18日にJCOGプロトコール審査委員会で承認を受けた「再発・再燃・治療抵抗性の多発性骨髄腫に対するBD療法とTD療法のランダム化第II相試験(JCOG0904)」計画書を用いて、IRB承認が得られた施設から患者登録を開始した。 平成22年12月8日にプロトコール改正を実施した。
結果と考察
平成24年3月31日までに44施設で改正プロトコールver2.0のIRB承認が得られ、24名の患者が登録された。同年4月9日の解析対象20例(両群)の調査では1年生存割合76.5%、1年PFS割合21.0%であった。重篤な有害事象として、BD療法群で原病死と食道炎grade 3が各1例、TD療法群で高アミラーゼ血症grade 4と麻痺性イレウスgrade 3が各1例報告され、JCOG効果・安全性評価委員会で審査承認を受け全参加施設に周知された。しかし、進捗ペースが遅く試験完遂が困難であるため、平成24年1月より全参加施設で前向きの骨髄腫患者登録を実施し、適格患者の把握に努め、不同意理由、不適格理由についても情報収集している。その結果次第で症例数見直しや登録期間延長等の改訂を予定している。
結論
本試験は、再発・難治性骨髄腫患者に対するセカンドライン治療として、新規薬剤をどのような順序で使用することが患者のPFS期間の延長、すなわち生活の質を長期に保てるのかという臨床的疑問に答えるための重要な臨床試験である。進捗状況を改善し、本対象患者に対する標準治療の確立に繋げるとともに、染色体転座病型毎の層別化治療を探索する上で意義のある試験である。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

文献情報

文献番号
201119011B
報告書区分
総合
研究課題名
再発・難治性骨髄腫に対する至適分子標的療法の確立と生物学的治療予測因子の探索
課題番号
H21-がん臨床・一般-011
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
飯田 真介(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科 生体総合医療学講座 腫瘍・免疫内科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 渡辺 隆(国立がん研究センター中央病院)
  • 大間知 謙(東海大学医学部 血液腫瘍科)
  • 木下 朝博(愛知県がんセンター中央病院 血液・細胞療法部)
  • 畑 裕之(熊本大学医学部附属病院 血液内科)
  • 村上 博和(群馬大学医学部保健学科 検査技術科学)
  • 黒田 純也(京都府立医科大学 血液・腫瘍内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
再発・難治性の多発性骨髄腫に対するセカンドライン療法として、bortezomib+dexamethasone併用(BD)療法とthalidomide+dexamethasone併用(TD)療法のランダム化第II相試験をJapan Clinical Oncology Group (JCOG)リンパ腫グループで実施し、1年無増悪生存(PFS)割合をプライマリーエンドポイントとして比較し、より有効性の高い治療法を選択する。セカンダリーエンドポイントとして、腫瘍病型を特徴付けている染色体転座病型がBD療法およびTD療法における治療予測因子となりえるかどうかについて検討する。
研究方法
平成21年度は、「再発・再燃・治療抵抗性の多発性骨髄腫に対するBD療法とTD療法のランダム化第II相試験(JCOG0904)」の実施計画書を作成し、JCOGプロトコール審査委員会での承認を受けた。平成22年2月3日以降、IRB承認施設から患者登録を開始した。同年12月22日には適格規準、除外規準を緩和した改正プロトコールを発効し、施設IRB再承認の上で登録を再開した。
結果と考察
初版、改正プロトコールともに、44施設でIRB承認を得た。平成24年3月末日時点で24名の患者登録がなされた。平成24年4月9日の解析対象20例(両群)の調査では1年生存割合76.5%、1年PFS割合21.0%であった。重篤な有害事象として、BD療法群で原病死と食道炎grade 3、TD療法群で高アミラーゼ血症grade 4と麻痺性イレウスgrade 3が各1例ずつ報告され、JCOG効果・安全性評価委員会の審査承認と全参加施設への周知がなされた。しかし、進捗ペースが遅く試験完遂が困難であるため、平成24年1月より全参加施設で前向きの骨髄腫患者登録を実施し、適格患者の把握に努めるとともに、不同意理由、不適格理由についても情報収集している。その結果次第で、症例数見直しや登録期間延長等の改訂を予定している。
結論
本試験は、再発・難治性骨髄腫患者に対するセカンドライン治療として、新規薬剤をどのような順序で使用することが患者のPFS期間の延長、すなわち生活の質を長期に保てるのかという臨床的疑問に答えるための重要な臨床試験である。本対象患者に対する標準治療の確立に繋げるとともに、染色体転座病型毎の層別化治療を探索する上で意義のある試験である。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201119011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
我が国における多発性骨髄腫による死亡者数は、2014年には年間4,185名である。多発性骨髄腫は治癒困難な疾患であり初回治療が奏効しても通常数年以内に再発し、救援治療を繰り返す度に次第に難治性となり最終的には致死的となる。また8割の患者に溶骨病変が合併し、疼痛や運動制限により生活の質は著しく障害される。本研究はランダム化第II相試験であり、すぐに標準治療の確立には至らないが、特徴的な副作用を有する新規薬剤による救援療法の至適順序に関するエビデンスの創出に繋がる可能性のある重要な成果が期待できる。
臨床的観点からの成果
本試験のプライマリーエンドポイントである1年無増悪生存割合は、長期間の生活の質(QOL)の維持の代替えエンドポイントとしての意義を有している。また染色体転座病型というバイオマーカーがサリドマイドやボルテゾミブなどの新規薬剤治療において治療予測因子になりえるかどうかについての探索的検討も含んでおり、将来は未治療患者の層別化治療や個別化治療に繋がる研究である。すなわち新規薬剤の至適投与順序、各患者に最適な治療の選択、さらに医療経済的効果を考える上で重要な成果が期待できる。
ガイドライン等の開発
再発・難治性の多発性骨髄腫に対する新規薬剤の投与順序や染色体病型毎の層別化については、欧米の診療ガイドラインにおいてもエビデンスの必要な領域との記載はあるものの未だ標準的といえる記載は成されていない。日本血液学会が中心となって作成し、平成25年度に発刊した造血器腫瘍診療ガイドラインにおいても、上記の点についての明確な記載は成されていない。本試験の結果が、すぐに我が国の診療ガイドラインに採用されるエビデンスを提供することは出来ないが、次期第III相試験のための重要なステップとなることは間違いない。
その他行政的観点からの成果
骨髄腫患者における救援療法の至適投与順序が確立すれば、特に高齢患者の無増悪生存期間の延長とQOLの長期維持に貢献できる。すなわち国民の医療・福祉の向上に寄与できる。さらに治療効果を予測できるバイオマーカーの同定は、無駄な医療を制限することができ医療経済上も好影響を与える事ができる。
その他のインパクト
特記事項なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2017-05-25

収支報告書

文献番号
201119011Z