乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験

文献情報

文献番号
201118067A
報告書区分
総括
研究課題名
乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験
課題番号
H23-3次がん・指定-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
大内 憲明(東北大学大学院医学系研究科腫瘍外科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 東野 英利子(財団法人筑波メディカルセンターつくば総合健診センター)
  • 祖父江 友孝(国立がん研究センター・がん対策情報センター・疫学)
  • 斎藤 博(国立がん研究センターがん予防・検診センター消化器病学)
  • 山本 精一郎(国立がん研究センターがん対策情報センター生物統計学)
  • 遠藤 登喜子(国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター高度診断研究部)
  • 石田 孝宣(東北大学大学院医学系研究科腫瘍外科分野)
  • 深尾 彰(山形大学大学院医学系研究科公衆衛生学講座)
  • 栗山 進一(東北大学大学院医学系研究科環境遺伝医学総合研究センター分子疫学分野)
  • 山口 拓洋(東北大学大学院医学系研究科医学統計学分野)
  • 鈴木 昭彦(東北大学病院乳腺内分泌外科)
  • 河合 賢朗(東北大学大学院医学系研究科地域保健学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
130,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
マンモグラフィによる乳がん検診の死亡率減少効果は50歳以上に限定的である。本研究では、40歳代女性を対象に、超音波による検診の標準化を図った上で、マンモグラフィに超音波を併用する(介入)群と併用しない(非介入)群との間でランダム化比較試験(RCT)を行い、2群間で検診精度と有効性を検証する。プライマリ・エンドポイントを感度・特異度とし、セカンダリ・エンドポイントを累積進行乳がん罹患率とする。
研究方法
1)超音波乳がん検診の標準化のためのガイドラインを作成し、検診を行う医師、技師に対して乳房超音波講習会を開催し、精度管理を行う。2)有効性を検証するために、40歳から49歳女性を対象に、 超音波検診を併用する群(介入群)、超音波検診を併用しない群(非介入群)の2群間でランダム化比較試験(RCT)を実施する。研究参加団体は全国23都道府県の42団体である。
結果と考察
1)超音波乳がん検診の標準化と普及:標準化のためのガイドラインを策定し、乳房超音波講習会を開催して教育研修を行った。平成22年までの最終的な通算受講者数は医師1,814名、技師2,084名となる。2)ランダム化比較試験:本研究の最終的な累積登録者数は76,196人に達している。また、平成21年度初回受診者29,653人のうち、平成23年度における2年後2回目受診者は20,865名(70.4%)であった。平成19-21年の受診者合計66,781人のうち2回目受診者は48,572人(72.7%)であった。今後は追跡を行い発見がん、中間期がん、並びに病理組織学的結果の把握を行う。
結論
超音波による乳がん検診の標準化に関して、第一の目的である超音波による乳がん検診の標準化に大きな成果があったといえる。第二の目的であるRCTによる有効性の検証に関して、平成19年度後半から平成22年度までの3.5年間で約8万人の新規登録者を達成できたことは、わが国でも大規模RCTによる臨床試験が可能であることを示した。二回目受診を行ったものは平成19-21年において72.7%と高値であった。戦略研究としての研究期間は終了し、指定研究として研究は継続している。がん対策のための戦略研究として企画された本研究が確実にアウトカムを達成するには、今後の追跡が重要なテーマとなる。引続き研究の推進を図り、成果を普及・活用し、発展させるよう務めなければならない。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201118067Z