がん対策推進基本計画とがん診療連携拠点病院の小児がん診療体制への適用に関する研究

文献情報

文献番号
201118063A
報告書区分
総括
研究課題名
がん対策推進基本計画とがん診療連携拠点病院の小児がん診療体制への適用に関する研究
課題番号
H23-3次がん・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
原 純一(大阪市立総合医療センター 小児血液腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
  • 田口 智章(九州大学大学院医学研究院 小児外科学)
  • 正木 英一(国立成育医療研究センター 放射線診療部)
  • 上田 孝文(国立病院機構大阪医療センター 整形外科)
  • 堀部 敬三(国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター)
  • 柳澤 隆昭(埼玉医科大学国際医療センター 包括的がんセンター 脳脊髄腫瘍科 小児脳脊髄腫瘍部門)
  • 吉峰 俊樹(大阪大学大学院医学系研究科 脳神経外科)
  • 柴田 亜希子(独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターがん統計研究部)
  • 小田 慈(岡山大学大学院 保健学研究科)
  • 瀧本 哲也(国立成育医療研究センター臨床研究センター臨床研究推進室)
  • 多田羅 竜平(大阪市立総合医療センター 緩和医療科兼小児内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
8,227,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児がん対策として、がん診療の拠点化と機能の高度化を図る。そのために、がん対策推進基本計画およびがん診療連携拠点病院の小児がん診療への適用方法を政策提言する。
研究方法
当初の2年間でわが国の小児がん診療実態を調査し、その問題点を明らかにする。また、小児がん診療の拠点化、集約化は今まで進んでいないが、それを阻害する因子を検討してその解決方法を模索することが拠点化を推進するためには重要である。同時にわが国での診療基盤整備のモデルとするために、小児がん診療の拠点化、診療の標準化が行われている英国での調査を行う。わが国での小児がん診療の問題点が解消でき、かつ質の高いがん医療を提供でき、同時に実現可能な小児がん診療体制を英国の体制をモデルとして検討する。
結果と考察
全国の147の小児造血器腫瘍診療施設のうち、年間10例以上の新規診断症例を診療しているのは44施設(27.5%)であり、年間5例以上の脳腫瘍、骨軟部腫瘍、その他の固形腫瘍を診療しているのはそれぞれ14、9、30に過ぎなかった。脳腫瘍、骨軟部腫瘍、その他の固形がんについての手術件数も年間数例程度の施設が大半であり、放射線治療も年間5例以下の施設が多くを占めた。診療規模の小さい施設では、小児がんに精通した看護師のほか、心理士、社会福祉士や保育士などが配置されておらず、総合的なケアが困難であることが推察された。一方、小児がんを多く扱う小児専門病院では、現在の国のがん診療連携拠点病院の要件である、緩和ケア体制の整備や各種認定看護師、認定薬剤師などの配置などがなされていない施設が大半であった。これらのことから、診療の質、心理面も含めたケアの質を向上させるためには、患者の集約化は避けられないものと考えられる。わが国同様、公的医療費で運用されており、かつ、小児がん診療において日本が直面している課題を克服した英国をモデルとして調査を行った。公的資金で行われている小児がんの全例登録システム、拠点病院の局在による弊害を解消するための訪問診療制度や診療連携病院の設置など、多くを学ぶことができた。次年度以降は、これらのシステムや患者団体などの要望を参考にしながら、日本でのあるべき体制について提言していきたい。
結論
わが国の小児がん診療実態を調査し、患者、医療資源とも全国に分散していることが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201118063Z