アジア諸国でのがん予防、がん検診、がん治療向上のための調査研究

文献情報

文献番号
201118061A
報告書区分
総括
研究課題名
アジア諸国でのがん予防、がん検診、がん治療向上のための調査研究
課題番号
H23-3次がん・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
田中 英夫(愛知県がんセンター研究所 疫学・予防部)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 真奈美(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部)
  • 伊藤 秀美(愛知県がんセンター研究所 疫学・予防部)
  • 松田 智大(国立がん研究センター がん対策情報センター がん統計研究部)
  • 西野 善一(宮城県立がんセンター研究所 がん疫学・予防研究部)
  • 椙村 春彦(浜松医科大学 医学部 腫瘍病理学講座)
  • 河原 ノリエ(東京大学 先端科学技術研究センター 「総合癌研究国際戦略推進」寄付研究部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
21,155,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アジア地域は世界で最もがん罹患数の多い地域であり、大きな社会的疾病負担となっている。がん予防およびがん治療向上のための国際協同研究を、日本が主導権を発揮しながら進めることは、アジア諸国内における日本の保健分野での存在感を示す上で重要である。
東アジア諸国における地域ベースのがん生存率を共通の枠組みで比較する協同研究をさらに推進する。また、Asia Cohort Consorciumの枠組みを活用して、罹患率が低かったためにリスク因子や予防因子が特定できなかった胆道がん、多発性骨髄腫、小腸がん等について、統合解析を進めていく。さらに、アジア各国における栄養データベースの統合を主導し、解析する。これにより、東アジア諸国民に特化したがん一次予防のための知見を得る。
研究方法
日本の生存率は、宮城、山形、新潟、福井、長崎の2000-02年診断がん患者、韓国の生存率は、韓国国立がんセンターが韓国全土を対象とした1993年-2007年診断がん患者を対象とし、部位別、年齢階級別の比較検討を行い、その結果を両国のがん医療をめぐる状況を踏まえ、考察するという作業を行った。東アジア人におけるBMIの増加と糖尿病保有との関連およびそのカットオフ値の検討には、従来から当研究組織が関っている、Asia Cohort Consorciumにおいて、東アジアのコーホート研究(110万人)の統合解析が進んでいる。研究テーマの設定は、Consorciumに参加するコーホートを担う研究者が計画を事務局に送ることになっている。
結果と考察
医療技術水準が近い日韓の2国間で、年齢階級別に5年相対生存率を比較した。その結果、子宮頸がんでは日本のがん検診受診率の改善が急務であること、乳がんと胃がんでは、韓国の高齢者におけるがん検診体制とがん医療へのアクセスを見直す余地があることなどが示唆された。次に、アジアの大規模コーホートデータの統合解析を行った結果、BMIの増加とともに糖尿病保有の危険度の増加は、年齢が50歳未満、インド人及びバングラデシュ人集団、教育レベルの低い群、喫煙者群で、特に大きいことを明らかにした。
結論
日韓という医療水準が近い2カ国のがん生存率の比較は、これまでの東アジア諸国の多国間での比較とは違った、両国のがん対策の課題をより明確にするという効果が見られることがわかった。また、東アジアのコーホート研究の統合解析により、アジア諸国で増加する肝がん、大腸がんのリスク要因としての糖尿病の予防につながる知見を得た。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201118061Z