癌医療におけるグレリンの包括的QOL改善療法の開発研究

文献情報

文献番号
201118049A
報告書区分
総括
研究課題名
癌医療におけるグレリンの包括的QOL改善療法の開発研究
課題番号
H22-3次がん・一般-034
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
中里 雅光(宮崎大学 医学部 内科学講座 神経呼吸内分泌代謝学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 寒川 賢治(国立循環器病研究センター研究所)
  • 土岐 祐一郎(大阪大学大学院医学系研究科 外科学講座消化器外科学)
  • 片岡 寛章(宮崎大学 医学部 病理学講座 腫瘍・再生 病態学分野)
  • 光永 修一(独立行政法人国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科)
  • 嘉田 晃子(国立循環器病研究センター研究開発基盤センター 先進医療・治験推進部)
  • 松元 信弘(宮崎大学 医学部 内科学講座 神経呼吸内分泌代謝学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
32,908,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
グレリンによる癌治療の新規支持療法を確立することと、癌治療におけるグレリンの作用を分子レベルで解明する事を目的とする。
研究方法
1.化学療法を施行した進行肺癌患者における内因性グレリンとQOLの関連、2. 胃・食道癌に対するグレリンの臨床応用、3.進行膵臓癌患者における内因性グレリンの意義、4.高発癌環境におけるグレリンの作用、5.肺癌カヘキシアモデル動物におけるグレリンの作用について検討した。
結果と考察
1.化学療法を施行した進行肺癌患者における血中グレリンとQOLの関連
進行肺癌患者における抗癌剤治療の経過中にQOL増悪を認めなかった群では、QOLが増悪した群に比較して、14日間の経過を通して低い傾向にあった。これは抗癌剤副作用によってQOLが低下した症例で反応性にグレリン産生が増えたためと考えられた。
2.食道癌化学療法患者に対するグレリン投与のランダム化第Ⅱ相臨床試験では40症例を完遂した。化学療法とともに7日間にわたってグレリンを投与し、プラセボ群に比して摂食量が体重あたり6kcal/day改善した。食道癌化学療法患者におけるグレリンの血中動態の検討では20症例を完遂し、摂食量とグレリン血中濃度に相関を認めた。
3.抗癌剤治療を施行した進行膵臓癌患者では、治療経過中に血漿デスアシルグレリン濃度が増加した患者で嘔気・嘔吐が有意に増加した。これは上部消化器症状によってグレリン産生が反応性に増加したためと考えられた。
4.大腸癌化学発癌マウスでは、グレリンシグナルの有無が大腸腫瘍数、体重増加率に有意な影響を及ぼさなかった。
5. Pten欠損マウスはウレタン投与5ヶ月後に高率に肺腺癌を発症し、進行肺癌モデルとして有用であった。
結論
食道癌化学療法を施行した患者では内因性グレリンと摂食量には相関が認められ、グレリン投与により有意に摂食量が改善した。進行肺癌と進行膵臓癌患者でも抗癌剤副作用と内因性グレリン産生に関連が認められた。これらの患者でもグレリン投与により、全身状態や抗癌剤副作用の軽減が期待される。グレリン投与に関連した重篤な有害事象は生じておらず、順調に進捗している。基礎研究では、進行癌カヘキシアとして有用な動物モデルを消化器癌、肺癌で作出した。今後はこのモデルによりグレリンの作用を分子レベルで解明する。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201118049Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
42,000,000円
(2)補助金確定額
42,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 22,061,226円
人件費・謝金 8,022,054円
旅費 1,035,490円
その他 1,789,230円
間接経費 9,092,000円
合計 42,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
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