がん特異的細胞性免疫の活性化を基盤とする新たな治療の開発

文献情報

文献番号
201118044A
報告書区分
総括
研究課題名
がん特異的細胞性免疫の活性化を基盤とする新たな治療の開発
課題番号
H22-3次がん・一般-029
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
藤田 貢(愛知県がんセンター研究所 腫瘍免疫学部)
研究分担者(所属機関)
  • 赤塚 美樹(藤田保健衛生大学血液内科)
  • 神田  輝(愛知県がんセンター研究所 腫瘍ウイルス学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
14,887,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん細胞特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の働きを応用した新規免疫療法の開発には、CTLが認識する個々のがん抗原の同定、効果的なCTL活性化法の確立および患者血液中のがん特異的CTLのモニタリングなどが重要である。平成23年度は1)HLA-A24拘束性に卵巣がん細胞を傷害するCTLの樹立とその認識抗原の同定、2)マイナー組織適合抗原特異的CTLの解析と臨床応用、および3) WT1発現リンパ芽球様細胞株(LCL)の抗原提示細胞としての有用性の検証について実施した。
研究方法
1)HLA-A24拘束性に卵巣がん細胞株TOV21Gを傷害するCTLの標的抗原遺伝子を発現クローニング法にて解析した、2)造血幹細胞移植後の白血病再発を予防する目的で、我々が同定したマイナー抗原エピトープペプチドを用いたワクチンを試験開始から計7例に接種した。3)EBV未感染ドナー由来のWT1発現LCLを作製し、同一ドナーの末梢血リンパ球(PBL)を刺激した。抗原特異的CTLの定量的解析はMHC-テトラマー法を用いた。
結果と考察
1)卵巣がんを傷害するCTLが認識する抗原遺伝子claudin-1と、CTLのエピトープのアミノ酸配列、RYEFGQALFを同定した。卵巣がんに対する免疫応答を解析する基盤となる成果と考えられる。今後は、他の卵巣がん特異的CTLクローンが認識する抗原遺伝子の同定を継続するとともに、肺がんにおいても同様の研究を平行して進める、2)評価可能症例6例中、接種ペプチドへのCTL反応が増強されたのは1例のみであった。今後、接種量を増量して検討を試みるが、同時に養子免疫慮法およびその関連技術の開発も必要と考えられた、3)EBV未感染者のPBLを使用するとEBV抗原特異的CTLの増幅は最小限に抑えられた。本方法はEBV未感染者におけるWT1特異的CTL誘導において、特に有効である可能性が示された。
結論
1)HLA-A24拘束性に卵巣がんを傷害するCTLが認識する抗原遺伝子claudin-1とエピトープのアミノ酸配列、RYEFGQALFを同定した。2)平成23年度末の段階で82例について適格性の検討を行い、試験開始から計7例にマイナー抗原ワクチンを接種した。3)臍帯血のようにEBV抗原特異的メモリーT細胞が存在しない検体で、WT1抗原特異的CTLをより効率よく増やせる可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2015-05-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
201118044Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
19,000,000円
(2)補助金確定額
19,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 12,311,140円
人件費・謝金 1,841,650円
旅費 155,180円
その他 580,810円
間接経費 4,113,000円
合計 19,001,780円

備考

備考
自己資金から1780円を支出したため

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-