新しい薬物療法の導入とその最適化に関する研究

文献情報

文献番号
201118041A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい薬物療法の導入とその最適化に関する研究
課題番号
H22-3次がん・一般-026
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
田村 友秀(独立行政法人 国立がん研究センター 中央病院 呼吸器腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
  • 南 博信(神戸大学大学院医学研究科)
  • 小泉 史明(独立行政法人 国立がん研究センター研究所)
  • 桑野 信彦(九州大学大学院薬学研究院)
  • 服部 明(京都大学大学院薬学研究科)
  • 杉本 芳一(慶應義塾大学薬学部)
  • 岡本 勇(近畿大学医学部)
  • 野口 眞三郎(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 西尾 和人(近畿大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
47,011,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
分子標的治療薬を含む新しい薬物療法の最適化を目指し、臨床検体を用いたトランスレーショナル研究を中心とした基礎・臨床の一連の研究により、効果・毒性のバイオマーカー探索、感受性/耐性規定因子の解析を行う。
研究方法
本研究組織は、研究代表者の他、8名の分担研究者で構成する。基礎研究においては、施設の倫理規定等に従って、動物実験には適正飼育を行い、苦痛を最小限に抑えるよう配慮した。臨床研究においては、ヘルシンキ宣言、臨床研究およびヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針等に従い、IRB承認、被験者の同意を必須とし、個人情報を厳守した。
結果と考察
(1)胃癌FFPE検体を用い、FGFR2遺伝子増幅を 4% (11/267例) に認めた。10コピー以上の高度遺伝子増幅は、2%であった。治療標的として注目される。(2)高感度で血中腫瘍ゲノムを検出法するOS-MSP法を開発し、乳癌336例を解析した。標的遺伝子のメチル化陽性例は予後不良であった。(3)ゲフィチニブによるEGFR変異肺癌株のアポトーシスには、IAP family蛋白であるサバイビンの発現量が低下し、この発現低下にはAKT経路に依存していた。(4)IGF-1R阻害薬とMET阻害薬に対する獲得耐性モデルを作成し、耐性機構を解析した。(5)大腸癌におけるKRAS変異はセツキシマブの直接効果を阻害するのみならず、ADCC効果を抑制することよっても治療抵抗性を誘導する。(6)変異EGFR遺伝子コピー減少はゲフィチニブ耐性を誘導した。(7)新規BCRP阻害薬はSN-38感受性を増強した。種々のSNP型、変異型BCRP対して阻害作用を示したが、F431L-BCRPは阻害でしなかった。(8)HIF-1ヘテロ二量体化を標的とする薬剤探索のため、各サブユニットのPASドメインを介した結合を蛍光タンパク質を用いた二分子蛍光相補法で検出する評価系を構築した。
結論
胃癌でFGFR2遺伝子増幅を確認した。高感度血中腫瘍ゲノム検出法を開発した。ゲフィチニブによるアポトーシスにサバイビンが関与した。KRAS変異大腸癌では、セツキシマブによるADCCも抑制された。BCRP阻害薬はSN-38感受性を増強した。HIF-1ヘテロ二量体化を標的とする薬剤評価系を構築した。

公開日・更新日

公開日
2015-05-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
201118041Z