文献情報
文献番号
201118039A
報告書区分
総括
研究課題名
ゲノミクス解析に基づく白血病の新規分類法開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-3次がん・一般-024
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
間野 博行(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 加納 康彦(栃木県立がんセンター)
- 宮崎 泰司(長崎大学医学部歯学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
24,289,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
我々は既に収集・保存した上記白血病芽球バンク検体を用い、次世代シークエンサーによる超高精度大量シークエンス解析を行うと共にmiRNAの大量プロファイルも取得し、これらの情報に基づく白血病の新規分類法を提案すると共に、新たな分子標的療法の開発を目指す。
研究方法
発がん関連遺伝子計913種類について、そのcDNAをexon captureする手法「cDNA-capture法」を開発し、それを用いて末梢性T細胞悪性リンパ腫の大規模配列解析を行った。
結果と考察
次世代シークエンサーを用いた一度の実験で、遺伝子の点突然変異・挿入欠失・融合の全てを解析可能な「cDNAキャプチャー法」を開発し、それを用いて末梢性T細胞悪性リンパ腫の腫大リンパ節検体11例に関する検討を行った。その結果全検体から計197種類の遺伝子上に263種類の非同義変異を発見することが出来たが、我々が同定した非受容体型セリンスレオニンキナーゼAのR→H変異については変異体特異的にNF-kB活性を上昇させることが明らかになった。次にキナーゼAの野生型とR→H変異型をそれぞれマウスT細胞株CTLL-2に導入し、デキサメサゾン添加によるアポトーシス誘導実験を行った結果、デキサメサゾン添加時において野生型導入CTLL-2細胞ではアポトーシスが確認されたのに対し、R→H変異型導入細胞ではアポトーシスの明瞭な減弱が認められた。一方、抗腫瘍薬の組み合わせ治療の最適化検討においては、代謝拮抗薬のcytarabineとgemcitabineやtopoisomease-I阻害剤のirinotecanはplatinumと相乗作用を示す事が確認された。
結論
本研究事業において新たな高効率変異スクリニーニング技術を開発し、それによって多くの配列異常遺伝子を同定することに成功した。特に我々が発見したキナーゼAの変異は抗アポトーシス作用を増強する異常変異である事が明らかになった。一方薬剤併用療法の解析により、プラチナ製剤の併用療法のあり方について実験的検討を行った。
公開日・更新日
公開日
2015-05-19
更新日
-