内視鏡による新たな胃がん検診システム構築に必要な検診方法の開発とその有効性評価に関する研究

文献情報

文献番号
201118037A
報告書区分
総括
研究課題名
内視鏡による新たな胃がん検診システム構築に必要な検診方法の開発とその有効性評価に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-3次がん・一般-022
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
濱島 ちさと(独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 検診研究部 検診評価研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 岸本 拓治(鳥取大学医学部社会医学講座環境予防医学分野)
  • 小越 和栄(新潟県立がんセンター新潟病院)
  • 後藤 励(甲南大学経済学部)
  • 謝花 典子(山陰労災病院 消化器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
8,227,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成18年度の胃がん検診ガイドラインでは、死亡率減少効果が証明された胃X線検査が推奨され、胃内視鏡検査、ヘリコバクタ・ピロリ抗体及びペプシノゲン法は証拠が不十分とされた。現在まで、胃がん死亡率減少効果については確定的な根拠は得られていないことから、内視鏡検診の有効性評価研究を行う。
研究方法
1)鳥取県4市(鳥取市、米子市、倉吉市、境港市)と新潟市を対象とした内視鏡検診に関する症例対照研究を行った。
2)鳥取県米子市における胃がん検診受診者を対象とし、継続受診者別の内視鏡検診・X線検診の感度を、診断法と発生率法の両者の方法で算出した。
3)内視鏡胃がん検診に対する公的補助を行っている新潟市において、医師や看護師の人的資源状況を実証的に把握する稼働分析によって、内視鏡胃がん検診の処理能に関する検討を行った。
4)内視鏡検診の有効性を評価するための無作為割付なし比較対照試験の研究計画を立案した。
結果と考察
1)鳥取県4市と新潟市を対象とした内視鏡検診に関する症例対照研究を行った。適応・除外基準に合致する症例群は410人、うち鳥取県146人、新潟市264人であった。住民基本台帳より、適応基準に合致した対照群2,294人を抽出した。うち鳥取県794人、新潟市1,500人であった。診断日から48か月以内のX線受診のオッズ比は0.793 (95%信頼区間:0.560-1.125)、内視鏡検診受診は0.598(95%信頼区間:.392-0.914)であった。
2)鳥取県米子市における胃がん検診受診者を対象とし、継続受診者別の内視鏡検診・X線検診の感度を、診断法と発生率法の両者の方法で算出した。初回検診、継続検診にかかわらず、内視鏡検査の感度はX線検査に比べ、診断法・発生率法のいずれにおいても高かったが、観察値/予測値(O/E)は内視鏡検査は、初回検診、継続検診のいずれにおいても2倍前後となった。内視鏡検査による発見胃がんはX線検査に比べ過剰診断の割合は高いことが推測された。
3)稼働分析・アンケート調査から、内視鏡検診を行うための基礎要件や改善点が明らかとなった。
4)内視鏡検診の有効性評価のための無作為割付なしの比較対照試験のプロトコルを作成した。
結論
内視鏡検診は、わが国の先行研究により死亡率減少効果の可能性は示唆されてはいるものの、確固たる証拠は得られていない。そこで、内視鏡検診の有効性を評価するために、無作為割り付けなし比較対照試験を行い、胃がん死亡率減少効果について検証する。

公開日・更新日

公開日
2015-05-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
201118037Z