ゲノム・遺伝子解析に基づく、胃がん・肺腺がん高危険度群の補足、及び予防標的分子の同定に資する研究

文献情報

文献番号
201118032A
報告書区分
総括
研究課題名
ゲノム・遺伝子解析に基づく、胃がん・肺腺がん高危険度群の補足、及び予防標的分子の同定に資する研究
課題番号
H22-3次がん・一般-017
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
椙村 春彦(浜松医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 坂本裕美(国立がん研究センター研究所ゲノム研究グループ 遺伝医学研究分野 )
  • 河野隆志(国立がん研究センター研究所・ゲノム生物学研究分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
13,320,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
胃がん・肺がんは本邦がん死因の約40%を占めるが、未分化型胃腺がんや肺腺がんはH. pylori感染や喫煙等の既知の危険要因の関与が小さく、十分な高危険度群の捕捉ができていない。特に、生活習慣等のリスク要因の基盤となる安定した確率を提供する遺伝素因に関しては全貌が解明されていない。本研究では①自らの複数の先行ゲノム網羅的関連研究(GWAS)データに基づき複数の遺伝素因の組み合わせを選択、その効果について追加症例を用いて検討する。②既知遺伝子の変異が検出されていない家族性胃がん症例・若年性未分化胃腺がん・若年性非喫煙者肺腺がん症例の代表例に対して、次世代シークエンサー等を用いて遺伝子機能異常を示唆する新規変異を検索し、他の家族性・若年性症例、並びに孤発がん症例における同一変異・同一遺伝子内変異の頻度を解析する。
研究方法
日本人未分化胃腺がんと肺腺がんに関するゲノム網羅的関連解析(GWAS)の多段階スクリーニングを終了と長年に渡る家族性胃がん、若年性胃がん・肺がん症例の血液DNA等の試料の蓄積を利用し、当初の予定どおり、若年あるいは家族性胃癌がん例については、SNPアレイによる網羅的一塩基多型の解析をおこなう。CDH1やTP53等の既知の家族性胃がん原因遺伝子の変異解析が一部終了している57家系の家族集積性胃がん、135例の若年性胃がん、46例の若年性肺腺がんの試料等について、対象の集団としての特性やhomozygous stretch、さらに、あらたなcopy number の多型を検出する方法を応用する。若年孤発症例のcopy number 変異の検索を進めることにした。
結果と考察
その結果、c.546A>C (Lys182Asn)が1例、c.2494G>A (Val1832Met)が2例見つかった。また、うち、74例のMLPATM解析によりexon 3のlossが1例、exon4のlossが2例、exon6 のlossが1例、exon12のlossが4例みつかった。さらに、exon5のgain が2例、exon14のgainが3例見つかっている。Exon3 および12については、同時にTaqMan Copy number assayTM をおこない、MLPA でlossと判定した症例はすべてcopy number が1 (loss)であった。
結論
この知見は当初の予想より高頻度に既知遺伝子の構造異常がみられたことであり、現在坂本らがすすめているexome, 全ゲノムといった広範な方法論の適用の結果にも期待を抱かせるものである。

公開日・更新日

公開日
2015-05-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
201118032Z