浸潤・転移等、がんの重要な臨床的特性の病理・病態学的分子基盤の解析とそれに基づく診断・治療法の開発に資する研究

文献情報

文献番号
201118024A
報告書区分
総括
研究課題名
浸潤・転移等、がんの重要な臨床的特性の病理・病態学的分子基盤の解析とそれに基づく診断・治療法の開発に資する研究
課題番号
H22-3次がん・一般-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
落合 淳志(独立行政法人 国立がん研究センター 東病院臨床開発センター 臨床腫瘍病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 保典(慶應義塾大学医学部)
  • 坂元 亨宇(慶應義塾大学医学部)
  • 加藤 光保(筑波大学大学院実験病理学)
  • 荒川 博文(独立行政法人 国立がん研究センター研究所)
  • 平岡 伸介(独立行政法人 国立がん研究センター研究所)
  • 神奈木 玲児(愛知医科大学病理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
39,176,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん組織に特徴的な病理形態・病態はがんの悪性度や生物像と強い相関を示し、これら病理・病態学的変化はがんの生物像を規定する分子基盤に関わっていることが強く推察される。特徴的な病理形態像および病態をモデル化しその分子機構を解明することにより、新しい診断治療法開発を目指すものである。
研究方法
1)膵臓がんの神経浸潤モデルを用いて、食餌量、体重、疼痛変化および脊髄での網羅的発現解析を評価した。
2)エストロゲン依存性乳癌の増殖には、エストロゲンにより誘発された活性酸素種(ROS)と細胞増殖を検討した。
3)血管周囲外膜より培養した間質線維芽細胞の腫瘍形成能と、ポドプラニン発現線維芽細胞の細胞内シグナル伝達機構を検索した。
4)膵がん患者に対し抗IL-6受容体抗体治療の第一相臨床試験を膵臓がん患者に対して行った。がん病理形態を3次元的に観察する新規内視鏡システムの第Ⅰ相試験を開始した。
結果と考察
1)膵臓がん神経浸潤モデルを用いてがん性疼痛(異痛)には脊髄アストロサイトの活性化が関わっており、アストロサイトの活性阻害薬を神経浸潤モデルに投与すると、マウスの異痛の改善、食餌量減少を伴わないマウス体重減少を抑制することを初めて示した。がん性疼痛の分子機構の解明と新しいがん性疼痛の治療法を開発する予定である
2)エストロゲン依存性乳癌の増殖には、エストロゲンにより誘発された活性酸素種(ROS)の増加が重要な役割を果たしていることを示した。エストロゲン依存性乳癌の増殖には、エストロゲンにより誘発された活性酸素種(ROS)の増加が重要な役割を果たしていることを初めて示した。
3)血管周囲外膜より培養した血管外膜由来線維芽細胞の発現するポドプラニンは腫瘍形成能に関わることを示した。また、ポドプラニンによるRhoの活性化が重要である事を示した。
4)神経浸潤モデルで見出された膵がん患者のIL-6のシグナルを阻害する抗IL-6受容体抗体治療の第Ⅰ相および第Ⅱ相の試験臨床試験を膵臓がん患者に対して行った。
5)新しい内視鏡システムにより、切除早期大腸癌の粘膜筋板の破壊を初めて確認するとともに臨床機として第Ⅰ相試験を開始した。
結論
がん生物像に関わる新しい分子基盤の研究は臨床への応用へすすめられた。今後、本研究班で開発したその他のモデル作製で得た情報を基に治療への応用を展開できると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2015-05-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
201118024Z