難治性神経芽腫の発がんと幹細胞性を制御する遺伝子の同定および解析とその臨床応用

文献情報

文献番号
201118019A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性神経芽腫の発がんと幹細胞性を制御する遺伝子の同定および解析とその臨床応用
課題番号
H22-3次がん・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
中川原 章(千葉県がんセンター がん先進治療開発研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 上條 岳彦(千葉県がんセンター 研究局・発がん研究グループ)
  • 大平 美紀(千葉県がんセンター 研究局 ・がんゲノム研究室)
  • 古関 明彦(独立行政法人理化学研究所免疫アレルギー科学総合研究センター・免疫器官形成研究グループ)
  • 岩間 厚志(千葉大学大学院医学研究院・細胞分子医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
25,856,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性神経芽腫に対する新しい治療戦略を構築することは緊急の課題となっており、本研究では、悪性度の高い神経芽腫のがん幹細胞やiPS細胞技術など、最新の技術を駆使した神経芽腫発がんの分子機構解明とそれに基づく新しい治療法開発の基盤研究を展開する。
研究方法
細胞レベルにおける各種遺伝子の機能解析には、標準的な分子生物学的実験手法を用いた。遺伝子発現量は定量的RT-PCRによった。低分子化合物300万個のライブラリーは米国スクイブ研究所が開発したものを用い、グリッドコンピューティングを用いた分子イメジング法によった。NCYMトランスジェニックマウスの作製は、TH-NCYMを用いて行った。さらに、がん細胞のiPS化は、センダイウイルスベクターを用いた。
結果と考察
(1)1番染色体短腕1p36.2にマップされるRUNX3は、MYCN蛋白質と結合してプロテアゾーム依存的にその分解を促進し、MYCNの安定化に寄与した。さらに、MYCNのアンチセンス遺伝子であるNCYMが蛋白質に翻訳され、MYCN蛋白質の安定化に寄与していることを明らかにした。また、MYCNとNCYMのダブルトランスジェニックマウスを作製し、新たな神経芽腫マウスモデルを創出した。さらに、新規膜蛋白質NLRR1がALKの機能を負に制御することを明らかにした。(2)in silico screeningにより見いだした7個のTrkB阻害剤候補は、マウスにおいて毒性を認めず、新薬開発への期待が持てた。(3)神経芽腫I-type細胞をiPS化することができ、発がんとリプログラミングの関連を解析するツールができた。(4)神経芽腫幹細胞において、CD133によるsphere形成の促進、さらに、増腫瘍性におけるCD133 C末細胞内ドメインを明らかにした。また、発がんおよび幹細胞性に関係するポリコム群複合体の新規一員としてUSP7を見いだし、KOマウスを作製した。
結論
過去のゲノム情報から同定した神経芽腫候補遺伝子の機能解析とそれらを標的とする治療薬の同定研究が具体的に進んだ。また、平行して、がん幹細胞性および神経芽腫のリプログラミング機構解析が進み、NCYMとMYCNダブルトランスジェニックマウスを作製した。

公開日・更新日

公開日
2015-05-19
更新日
-

収支報告書

文献番号
201118019Z