文献情報
文献番号
201118008A
報告書区分
総括
研究課題名
レトロウイルス技術と高集積がん組織アレイを利用した癌抗原同定とがんの早期診断治療への応用
課題番号
H21-3次がん・一般-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
北村 俊雄(東京大学 医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
- 福岡 順也(富山大学附属病院・外科病理学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
22,722,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、がん疾患を対象とした抗体を用いた治療、診断である。培養細胞系での機能試験、あるいは担がんモデルマウスを用いた試験により治療効果を評価する。
平成23年度は、開発したモノクローナル抗体の薬効機能を評価した。また、平成22年度までの結果で、取得したモノクローナル抗体が固定標本である高集積がん組織アレイでは使用できないことが多く、平成22年度は免疫法に工夫をしてモノクローナル抗体を再度作製したが、平成23年度はこれらの抗体の高集積がん組織アレイでの解析も併せて行なった。
平成23年度は、開発したモノクローナル抗体の薬効機能を評価した。また、平成22年度までの結果で、取得したモノクローナル抗体が固定標本である高集積がん組織アレイでは使用できないことが多く、平成22年度は免疫法に工夫をしてモノクローナル抗体を再度作製したが、平成23年度はこれらの抗体の高集積がん組織アレイでの解析も併せて行なった。
研究方法
研究代表者の北村は、SST-REX法を利用して各種癌抗原に対するモノクローナル抗体を網羅的に作製し、これらの抗体の染色特異性、がん細胞株に対する増殖抑制効果を調べる。分担研究者の福岡は患者がん細胞高集積アレイを作製し、上記のモノクローナル抗体の各種癌に対する染色性と予後との関連を解析する。
結果と考察
SST-REX法を実施し、がん細胞由来の1000種類近い遺伝子を同定した。さらに、SST-REX法における膜蛋白質・分泌蛋白質を同定し、それに対するモノクローナル抗体を細胞免疫法で開発する本法では、癌細胞増殖抑制の機能を有する抗体が得られる確率が高かった。これらの抗体はパラフィン切片染色用の抗体作製などにも応用できることが明らかとなった。抗体による担がんマウスの治療は化学療法剤に見られる体重減少のような副作用が見られなかった。このように抗体薬は副作用の少ない治療薬として期待できる。
結論
我々はSST-REXを様々ながん細胞株から樹立したライブラリーで行い、効率良くSSTクローン(がん細胞由来膜蛋白質あるいは分泌蛋白質を細胞表面に発現しているBa/F3細胞)を樹立した。これらのSSTクローンをマウスに免疫することにより、効率良くモノクローナル抗体を作製することができた。作製した抗体の一部は、がん細胞の増殖をin vitro、in vivoで抑制する機能を有しており、がんの治療用抗体シーズとして期待の持てる成果を得た。
これまでの検討の結果から、SST-REX法を利用した標的探索とSSTクローンを用いたモノクローナル抗体作製では、単に作製効率が良いというだけでなく、機能を有する抗体の取得にも有効な手段である事が示唆された。
これまでの検討の結果から、SST-REX法を利用した標的探索とSSTクローンを用いたモノクローナル抗体作製では、単に作製効率が良いというだけでなく、機能を有する抗体の取得にも有効な手段である事が示唆された。
公開日・更新日
公開日
2015-05-19
更新日
-