標準的検診法と精度管理に係る新たなシステムなどの開発に関する研究

文献情報

文献番号
201118006A
報告書区分
総括
研究課題名
標準的検診法と精度管理に係る新たなシステムなどの開発に関する研究
課題番号
H21-3次がん・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 博(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 検診研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐川 元保(金沢医科大学呼 吸器外科学)
  • 青木 大輔(慶應義塾大学 医学部産婦人科)
  • 渋谷 大助((財)宮城県対がん がん検診センター)
  • 西田 博(パナソニック健康保険組合健康管理センター)
  • 松田 一夫((財)福井県健康)
  • 中山 富雄(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センターがん予防情報センター 疫学予防課)
  • 笠原 善郎(福井県済生会病院 乳腺外科)
  • 濱島 ちさと(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 検診研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
33,691,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん対策推進基本計画の個別目標である「全ての市町村で精度管理を行う」、「50%の受診率達成」に資する課題について検討した。
研究方法
1チェックリスト(CL)の適切性評価
乳がんと子宮頸がんのCLの適切性をコンセンサスパネルにより評価し改訂案を作成した。
2 精度管理水準の実態把握とがん検診実施体制整備上のバリアの把握
全国市町村を対象に、H23年度のCL実施状況とCLの実施上のバリアについて調査した。
3 精度管理評価結果の還元の有効性評価に関する介入研究
当初の研究計画に従って3回目の介入を行った(東日本大震災の被災地域除く)
4 個別受診勧奨・再勧奨(CRS)に関する実態調査とCRS整備上のバリアの把握
全国市町村を対象に、CRSの整備状況と、CRS整備上のバリアを調査した。
5 大腸がん検診精検受診率改善に関する研究
精検受診に関連する要因を特定し、それに基づいて精検受診勧奨用のパンフレットを開発した。
6生活習慣病検診管理指導協議会(協議会)を活性化する体制の検討
現在形骸化している協議会の活動を活性化させるために研修会のコンテンツ作成等を行った。
結果と考察
1 2がんのCLは全項目で概ね適切性が認められた。来たるべき改訂時の改訂案を作成した。
2 CL実施率はH21年度より改善した。特に受診歴別集計の実施率などが有意に改善し、CLの使用による精度管理向上効果が示唆された。CL実施上のバリアとして、検診に携わる自治体・検診機関・医師会の連携体制の不備が示唆された。
3  当初の計画通り進行中だが、地震の影響によるサンプル数の低下などのため、中間解析を行って今後の方針を検討する。
4 僅か約4%の市町村でしかCRSが整備されておらず、整備市町村は未整備の市町村より受診率が有意に高かった。CRS整備のバリアとして財政面の制約、職域対象者の特定が不可能なこと等が示唆された。
5 精検受診を妨げる要因は「がんへの恐れ」「仕事の有無」「既往歴」だった。今後開発したパンフレットで精検受診勧奨の介入研究を行う。
6 CLとプロセス指標による、胃がん、大腸がん部会が行うべき精度管理手法を開発した。手法習得の研修会を行って43県の参加を得た。
結論
がん対策基本計画個別目標達成に資する精度管理体制についての検討を進捗させた。

公開日・更新日

公開日
2015-05-19
更新日
-

文献情報

文献番号
201118006B
報告書区分
総合
研究課題名
標準的検診法と精度管理に係る新たなシステムなどの開発に関する研究
課題番号
H21-3次がん・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 博(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 検診研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐川 元保(金沢医科大学呼 吸器外科学)
  • 青木 大輔(慶應義塾大学 医学部産婦人科)
  • 渋谷 大助((財)宮城県対がん がん検診センター)
  • 西田 博(パナソニック健康保険組合健康管理センター)
  • 松田 一夫((財)福井県健康)
  • 中山 富雄(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センターがん予防情報センター 疫学予防課)
  • 笠原 善郎(福井県済生会病院 乳腺外科)
  • 濱島 ちさと(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 検診研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん対策推進基本計画個別目標である「全ての市町村で精度管理を行う」、「50%の受診率達成」に資する課題について検討した。
研究方法
1 チェックリスト(CL)の適切性評価
肺がん、乳がん、子宮頸がんのCLの適切性をコンセンサスパネルにより評価し改訂案を作成した。
2 精度管理水準の実態把握とがん検診実施体制整備上のバリアの把握
CLの回答基準を統一した調査票を作成し、全国市町村を対象に3年間のCL実施状況とCLの実施上のバリアについて調査した。
3 精度管理評価結果の還元の有効性評価に関する介入研究
当初の研究計画に従って3回の介入を行った(東日本大震災の被災地域除く)
4 個別受診勧奨・再勧奨(CRS)に関する実態調査とCRS整備上のバリアの把握
全国市町村を対象に、CRSの整備状況と、CRS整備上のバリアを調査した。
5 大腸がん検診精検受診率改善に関する研究
精検受診に関連する要因を特定し、それに基づいて精検受診勧奨用のパンフレットを開発した。
6 生活習慣病検診管理指導協議会(協議会)を活性化する体制の検討
形骸化している協議会の活動活性化のために研修会のコンテンツ作成等を行った。
7 標準化がん検診受診率の算定
厚労省報告書(H20年)に記載された算定方法で全国の受診率を集計した。
結果と考察
1 3がんのCLは全項目で概ね適切性が認められた。来たるべき改訂時の改訂案を作成した。
2 CL実施率はH21年度より改善し、CLの使用による精度管理向上効果が示唆された。CL項目実施上のバリアとして、検診に携わる自治体・検診機関・医師会の連携体制の不備が示唆された。
3  当初の計画通り進行中だが、地震の影響によるサンプル数の低下などのため、中間解析を行って今後の方針を検討する。
4 僅か約4%の市町村でしかCRSが整備されておらず、整備市町村は未整備の市町村より受診率が有意に高かった。整備のバリアとして財政面の制約等が示唆された。
5 精検受診を妨げる要因は「がんへの恐れ」「仕事の有無」「既往歴」だった。今後開発したパンフレットで精検受診勧奨の介入研究を行う。
6 CLとプロセス指標による、肺がん、胃がん、大腸がん部会が行うべき精度管理手法を開発した。手法習得の研修会を行って44県(肺がん)、43県(胃・大腸がん)の参加を得た。
7 H19、H20年度の受診率を算出し、国立がん研究センターのホームページで公開した。
結論
がん対策推進基本計画の個別目標達成に資する精度管理体制構築の検討が進捗した。

公開日・更新日

公開日
2015-05-19
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201118006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
海外では、検診実施者への精度管理評価結果の還元が受診率向上に有用というエビデンスが示されているがわが国ではまだ還元の有効性についての知見がない。そこで、がん検診実施体制とプロセス指標(精検受診率など)による評価結果の市区町村への還元の効果、及び還元内容の差によって生じる効果の違いを評価するために、無作為割付による介入試験をH21年から6年計画で開始した。評価結果還元の有効性のエビデンスを提示しうる試験を進捗させた。本研究結果は評価結果還元の導入の判断の根拠として重要である。
臨床的観点からの成果
本研究はがん患者ではなく、健常な一般国民を対象にする取り組みであり、短期的かつ直接的な臨床上の効果を目指すものではないが、がん対策推進基本計画にあげられたがん検診の質の向上により、がんの病期分布の早期への移行がもたらされ、診断されるがんの治癒率向上、ひいては死亡率減少に寄与すると期待される。
ガイドライン等の開発
本研究班の前身班作成のがん検診のstructure指標であるチェックリスト(CL)は対策型がん検診に携わる都道府県、市区町村、検診機関が最低限整備すべき検診実施体制の指標として平成20年に自治体に厚労省健康局長通達され、平成22年にはがん対策推進基本計画の中間報告においてその参考指標である「精度管理を行なっている市区町村」の定義として用いられた。がん対策推進協議会(平成23年11月21日)、「第1回がん検診のあり方に関する検討会(H24年5月)」の資料に記載された。
その他行政的観点からの成果
CL等の本研究班の作成指標で全国自治体の検診の質の実態が初めて把握され、自治体の自己評価も可能となった。
前身の研究班が作成し、厚労省が公表した算定手法により、自治体間の比較が可能となった。その定期的集計を開始し、H19、20年度の全市町村の受診率をweb上で公開した。

都道府県が精度管理を行うための管理手法を開発し、初めて自治体での活用が可能になった。
チェックリスト実施率に上昇が認められ、指標設定の効果と示唆されている。
その他のインパクト
次期がん対策推進基本計画(案)で取り組むべき施策と明記された生活習慣病検診等管理協議会(協議会)は、都道府県内市区町村及び検診機関の精度管理を担うべき組織であるが、精度管理の方法が理解されていないため、殆どの協議会が形骸化していた。精度管理手法を開発し肺がん、胃・大腸がんの2回の全国指導者研修会にそれぞれ43、44都道府県が参加した。長く懸案であった協議会の活性化とそれを通じた都道府県の精度管理の均てん化に道筋がついたものと考えられる。

発表件数

原著論文(和文)
20件
原著論文(英文等)
18件
その他論文(和文)
49件
その他論文(英文等)
11件
学会発表(国内学会)
110件
学会発表(国際学会等)
33件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
3件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2017-05-25

収支報告書

文献番号
201118006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
43,000,000円
(2)補助金確定額
43,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,199,905円
人件費・謝金 8,446,984円
旅費 1,687,110円
その他 20,357,137円
間接経費 9,309,000円
合計 43,000,136円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-09-10
更新日
-