文献情報
文献番号
201117017A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性サイトメガロウイルス感染症対策のための妊婦教育の効果の検討、妊婦・新生児スクリーニング体制の構築及び感染新生児の発症リスク同定に関する研究
課題番号
H23-次世代・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山田 秀人(神戸大学 大学院医学研究科外科系講座産科婦人科学分野)
研究分担者(所属機関)
- 岡 明(杏林大学 医学部小児科)
- 中村 浩幸(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 母児感染研究部)
- 古谷野 伸(旭川医科大学 小児科)
- 井上 直樹(国立感染症研究所 ウイルス感染第1部)
- 峰松 俊夫(社会福祉法人愛泉会日南病院 疾病制御研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1.妊婦サイトメガロウイルス(CMV)スクリーニング体制の構築および妊婦教育のための基盤を作成する。
2.新生児CMVスクリーニング体制の構築および効率化を検討する。
3.先天性CMV感染児の臨床像の解析および発症や障害リスクに関与する要因を明らかにすることを目的とした。
2.新生児CMVスクリーニング体制の構築および効率化を検討する。
3.先天性CMV感染児の臨床像の解析および発症や障害リスクに関与する要因を明らかにすることを目的とした。
研究方法
1.妊婦を対象に児に影響を及ぼす感染症・微生物等に関するアンケート調査を行った。妊婦における先天性感染の発生に関わる予知因子を解析した。
2.初感染を起こす可能性がある妊婦や同胞から感染するリスクがある経産妊婦から出生した新生児を含む全新生児を対象に、濾紙尿検体を採取し、CMV DNAの検出を行った。
3.先天性感染児と同定され、1歳以上フォローアップできた62症例の予後を解析した。先天性感染児87症例を対象にToll-like receptor(TLR)遺伝子群の多型につき解析した。また、CMV抗原刺激に対するCMV特異的CD8+ T細胞の増殖能を解析した。
2.初感染を起こす可能性がある妊婦や同胞から感染するリスクがある経産妊婦から出生した新生児を含む全新生児を対象に、濾紙尿検体を採取し、CMV DNAの検出を行った。
3.先天性感染児と同定され、1歳以上フォローアップできた62症例の予後を解析した。先天性感染児87症例を対象にToll-like receptor(TLR)遺伝子群の多型につき解析した。また、CMV抗原刺激に対するCMV特異的CD8+ T細胞の増殖能を解析した。
結果と考察
1. 妊婦にとってCMVは胎児に影響を与える微生物の中で最も認知度が低いことが明らかになった。CMV母子感染予防に関する妊婦教育啓発プログラムを作成し普及させることにより、先天性感染を抑制する効果を期待できる。胎児超音波異常とCMV IgG avidity index低値が、先天性感染の発生に対する独立した予知因子であった。
2. 濾紙尿を用いた新生児スクリーニングは、先天性感染児の同定に有用であった。費用対効果の算出、実地臨床への応用やスクリーニング効率化が今後の課題である。
3.フォローを行った症候性先天性感染児において、新生児期に抗ウイルス薬療法をしなかった無治療の症候性児の85%が死亡または障害を残した。一方、抗ウイルス療法を行った症候性児の障害発生は44%であった。CMV感染や発症のリスク因子として、TLR2遺伝子多型、CMV特異的細胞性免疫応答異常が同定された。頭部MRI検査における白質の信号変化との関連について解析を進めている。
2. 濾紙尿を用いた新生児スクリーニングは、先天性感染児の同定に有用であった。費用対効果の算出、実地臨床への応用やスクリーニング効率化が今後の課題である。
3.フォローを行った症候性先天性感染児において、新生児期に抗ウイルス薬療法をしなかった無治療の症候性児の85%が死亡または障害を残した。一方、抗ウイルス療法を行った症候性児の障害発生は44%であった。CMV感染や発症のリスク因子として、TLR2遺伝子多型、CMV特異的細胞性免疫応答異常が同定された。頭部MRI検査における白質の信号変化との関連について解析を進めている。
結論
1. 我が国の妊婦は、CMV母子感染に関する知識が極めて乏しい現状が明らかになった。胎児超音波検査、avidity測定を用いた妊婦スクリーニングは、初感染妊婦を効率よく同定するために有用な方法となる可能性がある。
2. 濾紙尿を用いた新生児スクリーニングは、先天性感染児の同定に有用であった。
3. 症候性先天性感染児に抗ウイルス薬治療を行うことにより、障害発生を抑制できる可能性が日本で初めて示された。TLR2遺伝子多型、細胞性免疫異常、頭部MRI所見が予後と関連する可能性が見いだされた。
2. 濾紙尿を用いた新生児スクリーニングは、先天性感染児の同定に有用であった。
3. 症候性先天性感染児に抗ウイルス薬治療を行うことにより、障害発生を抑制できる可能性が日本で初めて示された。TLR2遺伝子多型、細胞性免疫異常、頭部MRI所見が予後と関連する可能性が見いだされた。
公開日・更新日
公開日
2012-12-28
更新日
-