神経細胞と人工材料との情報伝達用超微細電極材料に関する研究

文献情報

文献番号
199700927A
報告書区分
総括
研究課題名
神経細胞と人工材料との情報伝達用超微細電極材料に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
藤里 俊哉(国立循環器病センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 感覚器障害及び免疫・アレルギー等研究事業(感覚器障害研究分野)
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
4,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
細胞の興奮状態を細胞レベルで検出したり、個々の細胞へ情報を伝達することのできる高分子電極用基材の開発を目標として、細胞と培養基材との相互作用について検討した。
研究方法
まず、高分子基材と細胞との相互作用を検討した。今回は、神経細胞と同様、電気応答性の心筋細胞をモデル細胞として用いた。清潔麻酔下で成獣あるいは幼弱ラットの心臓を摘出した後に細切し、コラゲナーゼで消化することで心筋細胞を得た。モデル基材としては反応性基を有するセルロースを用いた。また、情報を伝達できる培養基材を開発するために、セルロースへのタンパク質の固定化について検討した。さらに、その生体適合性を検討するため、ウサギ背部皮下に各種基材を移植し、超音波触覚センサーを用いてそのカプセル化反応について検討した。
結果と考察
電極用高分子基材には細胞が付着する必要がある。しかしながら付着性の高い基材が細胞機能の維持に必ずしも適当であるとは限らず、そのため、神経細胞の付着性、機能発現性のよい基材のスクリーニングが必要である。セルロースは水に対する接触角が約20度で、親水性である。心筋細胞との相互作用を検討したところ、細胞付着数はコラーゲンや培養基材と比較すると低い値を示したが、形態的には細胞凝集塊を形成し、強い細胞間相互作用の得られる基材であることが示唆された。また、微細電極として、細胞膜表面電位の変化によって発色の変化する分子などを導入した基材を開発するためには、高分子表面に分子を固定化することが必要である。セルロースへのアミノ基含有化合物の固定化について臭化シアン活性化法を用いて検討したところ、適度な条件の存在することがわかった。さらに、電極が繊維性カプセルで覆われてはならないため、材料への繊維性カプセル化について検討した。ウサギ皮下移植実験の結果から、セルロース周囲への繊維性カプセル化組織は、細胞接着性の高い基材に比較して柔らかいことがわかった。
結論
微細電極用高分子基材を開発する目的で、セルロース基材について基礎的条件を検討した。その結果、さらなる検討が必要ではあるものの、本目的に使用できる可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)