文献情報
文献番号
201117003A
報告書区分
総括
研究課題名
ライフスタイルの変化に伴う妊娠希望時の妊孕性減弱に対する病態解明、新規診断法と治療法開発のための研究
課題番号
H21-子ども・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
齊藤 英和(独立行政法人国立成育医療研究センター 病院 母性医療診療部 不妊診療科)
研究分担者(所属機関)
- 苛原 稔(徳島大学大学院へルスバイオサイエンス研究部)
- 小林 浩(奈良県立医科大学)
- 末岡 浩(慶應義塾大学)
- 楢原 久司(大分大学医学部)
- 大須賀 穣(東京大学医学部)
- 藤井 順逸(山形大学大学院医学系研究科)
- 阿久津 英憲(独立行政法人国立成育医療研究センター 研究所 生殖・細胞医療研究部 )
- 宮戸 健二(独立行政法人国立成育医療研究センター 研究所 生殖・細胞医療研究部 )
- 岡村 匡史(独立行政法人国立国際医療研究センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年、ライフスタイルの変化により、挙児を希望する年齢が高齢化し妊孕性減弱が起こっている。本研究では、妊孕性減弱に対し科学的裏付けのあるエビデンスを獲得し、新しい診断法・治療法を開発し生殖医療の質を上げることを目的とした。
研究方法
高齢化に伴い不妊を引き起こす病態・因子は多種存在するため、多面的に研究する必要性があり、班員は各分担項目より研究を進めた。
結果と考察
1.ヒト顆粒膜細胞においてオートファジーの発現は壁側顆粒膜細胞より卵丘顆粒膜細胞に強く発現していた。
2.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に対して検討した治療方針に従い、治療を行う事で7割の症例は妊娠が成立することが明らかとなった。
3.子宮内膜症の癌化の初期イベントとしてARID1AやHNF-1betaが関与していることが推定された。
4.加齢卵子では卵子細胞質体積は大きくなり,mtDNA copy数の減少も認めるため、胚のmtDNA密度の減少し胚発生低下する可能性がある。
5.子宮内膜症の病態形成のメカニズムには、DNAのメチル化やヒストンの脱アセチル化をはじめとするエピジェネティックス異常が関与していることが確認された。
6.子宮内膜症の病態においてIL-17FはIL-8, COX2の発現を促進し、TNFαとの同時添加により相乗的にIL-8産生を促進した。IL-17Fは子宮内膜症において炎症性サイトカインとして作用し病気の進展を促進することが示唆された。
7.Superoxide dismutase-1欠損精子は受精率が低く、早期に運動能が減衰した。Peroxiredoxin-4欠損マウスでは精巣の萎縮が見られ精子形成に遅延を示した。
8.加齢ES細胞を用いた体外培養実験系が有用な加齢と生殖システムの解析系になると思われた。
9.卵子と精子の細胞膜に存在するE-cadherinとβ-cateninは、卵子と精子の細胞融合に関与していることが示された。
10.ACE2は精子受精過程、特に精子先体反応において、負の制御を行う重要な分子であると考えられる。さらに精子先体反応においてもRASカスケードが機能していることが示唆された。
2.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に対して検討した治療方針に従い、治療を行う事で7割の症例は妊娠が成立することが明らかとなった。
3.子宮内膜症の癌化の初期イベントとしてARID1AやHNF-1betaが関与していることが推定された。
4.加齢卵子では卵子細胞質体積は大きくなり,mtDNA copy数の減少も認めるため、胚のmtDNA密度の減少し胚発生低下する可能性がある。
5.子宮内膜症の病態形成のメカニズムには、DNAのメチル化やヒストンの脱アセチル化をはじめとするエピジェネティックス異常が関与していることが確認された。
6.子宮内膜症の病態においてIL-17FはIL-8, COX2の発現を促進し、TNFαとの同時添加により相乗的にIL-8産生を促進した。IL-17Fは子宮内膜症において炎症性サイトカインとして作用し病気の進展を促進することが示唆された。
7.Superoxide dismutase-1欠損精子は受精率が低く、早期に運動能が減衰した。Peroxiredoxin-4欠損マウスでは精巣の萎縮が見られ精子形成に遅延を示した。
8.加齢ES細胞を用いた体外培養実験系が有用な加齢と生殖システムの解析系になると思われた。
9.卵子と精子の細胞膜に存在するE-cadherinとβ-cateninは、卵子と精子の細胞融合に関与していることが示された。
10.ACE2は精子受精過程、特に精子先体反応において、負の制御を行う重要な分子であると考えられる。さらに精子先体反応においてもRASカスケードが機能していることが示唆された。
結論
高齢者では多種の因子により、妊孕性減弱が誘起されている可能性が明らかとなり、診断法・治療法の開発の手がかりとなった。
公開日・更新日
公開日
2012-12-28
更新日
-