J-ADNIコアスタディ:画像・バイオマーカーの解析・活用と臨床研究体制の確立

文献情報

文献番号
201116014A
報告書区分
総括
研究課題名
J-ADNIコアスタディ:画像・バイオマーカーの解析・活用と臨床研究体制の確立
課題番号
H22-認知症・指定-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
岩坪 威(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 朝田 隆(筑波大学・臨床医学系)
  • 荒井啓行(東北大学 加齢研)
  • 高橋 智(岩手医科大学)
  • 山田正仁(金沢大学・医学部)
  • 杉下守弘(脳血管研究所)
  • 松田博史(埼玉医科大学)
  • 伊藤健吾(国立長寿医療研究センター)
  • 千田道雄(先端医療センター)
  • 桑野良三(新潟大学 脳研究所)
  • 佐藤 元(国立保健医療科学院)
  • 佐藤典子(国立精神神経医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
31,923,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 米国で開始された大規模縦断的臨床観察研究ADNIと協調し、本邦においてJ-ADNIが開始され、過去4年間に厚生労働科学研究とNEDO橋渡し研究が連携し、順調な発展を遂げている。本研究では、J-ADNI研究で得られたデータの解析の推進、各種臨床治験や臨床研究への応用促進、世界ADNI研究成果との連携による世界4極統一基準の確立、ADNI水準の臨床研究・臨床治験を可能とする全国臨床ネットワークの整備、を目標とし、J-ADNI研究の各専門コア主任が連携して遂行する。
研究方法
 臨床コアの朝田は荒井とともに臨床評価、とくにMCIから認知症へのコンバージョンを評価した。荒井は東北大学をモデル臨床施設とし、規範的臨床研究を実行した。高橋は18FアミロイドPETプローブの臨床応用を行った。山田はapoEε4アレルの画像変化への影響を検討した。松田はMRIによる脳容積測定の縦断研究を行った。伊藤は多施設PET研究における標準化撮像体制を推進、千田は体動補正を行った。桑野は髄液測定を施行、測定値の相違に関する技術的問題点を米国ADNIと連携して解析した。佐藤元はアミロイドPET計測の国際比較を行った。佐藤典子らはデータクリーニングの手法確立、解析へのデータ供与の効率化を行った。
結果と考察
平成24年3月末までに541例のエントリーを完了した。朝田らはMCI例の12ヶ月後の認知症へのコンバージョン率が29.6%と米国ADNIに比して高いことを指摘した。荒井らはJ-ADNI研究初の剖検例を解析し、複合病理を有するADの重要性を指摘した。高橋らはアミロイドプローブAV-45のヒト臨床研究を施行した。山田らはapoEε4アレルを有する健常者の脳灰白質容積、FDG-PET脳代謝に非保有者との差はないことを実証した。松田らは補正後のMRI画像データを縦断的に解析し、萎縮率は認知症に移行したMCI患者で最も高いことを示した。伊藤、千田らはFDG およびアミロイドPET検査の標準化と品質管理を実施した。桑野らはバイオマーカー測定を実行、脳脊髄液アミロイドβ、タウ、リン酸化タウの測定値の米国ADNIとの相違に寄与する様々な条件を検討した。佐藤元らはapoEε4アレルと Pibアミロイド画像PETの部位別SUVR値の関係を検討した。これらの研究によりJ-ADNI臨床研究が円滑に推進され、解析促進、国際協力、そして将来の根本治療薬治験への道筋が示された。
結論
 画像・体液バイオマーカーを駆使したADの進行度マーカーを確立するJ-ADNI研究は本邦で順調に発展している。

公開日・更新日

公開日
2012-08-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201116014Z