文献情報
文献番号
201115025A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者における心不全在宅医療に関する研究
課題番号
H23-長寿・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
野出 孝一(佐賀大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 琴岡 憲彦(佐賀大学 医学部)
- 筒井 裕之(北海道大学大学院医学研究科)
- 増山 理(兵庫医科大学 )
- 北風 政史(国立循環器病研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
31,257,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は慢性心不全の在宅管理において、遠隔モニタリングを活用することによって、再入院率を減少させ入院診療コストの軽減を図ることができるか検討することを主目的とし、これらを明らかにするために多施設無作為化比較試験を計画した。
研究方法
本年度は、全国の心不全診療のエキスパートからなる運営委員会を組織し、試験プロトコールを作成した。また、全国20以上の病院からなる研究グループを構築し、試験の重要なポイントとなる看護師のネットワークも構築した。
結果と考察
平成23年度は3年計画の初年度に該当し、慢性心不全の遠隔モニタリングについての多施設無作為化比較試験を行うための組織を構築した。独立したイベント評価委員を3名配置し無作為割付およびデータセンター、統計解析を千葉大学臨床試験部で行うことにより、第3者機関による客観的評価が行われる試験組織を構築した。現在、国内には慢性心不全の在宅モニタリングを行うことができる組織が存在しないため、遠隔モニタリングセンターを佐賀大学医学部循環器内科に設置した。患者が遠隔モニタリング群に割付けられた場合同センターによりモニタリング機器を発送し、自宅への設置も担当する。また、欧米の先行研究の反省から、本研究では看護師の関与を重視し、外来で看護師がiPadを用いて在宅モニタリングにより収集された情報を基に個別指導を行うことによって、患者のアドヒアランスを維持する仕組みを構築した。更に、全国の参加施設において患者指導にばらつきが発生しないよう、コーチングを行うこととし、これを行っている企業に委託した。このようなシステムによる慢性心不全の遠隔モニタリングを行う体制を構築したうえで、多施設無作為化比較試験を開始した。今後2年間かけて患者のエントリーを行い、最終年度には統計解析と結果の公表を行う計画である。
結論
本研究で運用している遠隔モニタリングは単なる遠隔監視のためだけの装置ではく、在宅医療従事者と病院医療スタッフとの間のコミュニケーションを円滑にする効果がすでに見られている。このため、今後の慢性心不全診療の場を病院から外来および在宅にシフトさせて行くため効果的な手段として期待される。
公開日・更新日
公開日
2012-06-18
更新日
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