在宅療養中の胃瘻患者に対する摂食・嚥下リハビリテーションに関する総合的研究

文献情報

文献番号
201115024A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅療養中の胃瘻患者に対する摂食・嚥下リハビリテーションに関する総合的研究
課題番号
H23-長寿・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 和泉(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 才藤栄一(藤田保健衛生大学)
  • 東口髙志(藤田保健衛生大学)
  • 早坂信哉(浜松医科大学)
  • 植田耕一郎(日本大学)
  • 戸原玄(日本大学)
  • 菊谷武(日本歯科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
10,256,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
経口摂取が困難な患者に対する胃瘻増設基準はあるが、経口摂取開始基準や抜去基準は存在しない。胃瘻患者は全国に約40万人と推察され、社会医療診療行為別調査によれば胃瘻の増設件数は、平成18年から平成20年までに3万件程度増加している。胃瘻は有用な栄養摂取方法であるが、増設後に経口摂取を再開する機会が得られる患者は少ない。つまり元来一時的な栄養摂取方法として開発された胃瘻が、半永久的に使われていることが多い。胃瘻の継続使用を一元的に望ましくないことと決めつけることはできないが、少なくとも現状把握を行うための大規模な横断調査、訓練効果をみるためのコホート調査を行い、胃瘻患者の経口摂取開始基準、ひいては患者およびご家族のQOLも考慮に入れた上で、胃瘻抜去基準策定のための研究を行うのが本研究の目的である。
研究方法
研究は①胃瘻交換を行う際に嚥下機能に推移がみられるか、②訪問診療場面で実際に摂食・嚥下のリハビリを行った場合に機能が改善するか、③胃瘻を作成する際にどのような基準で選択されており、どのような事項が申し送られているか、④施設等に入居している患者が入院して胃瘻造設されて退院した時にどのような事項が申し送られているか、また入院直前の状況と変化があったかについて幅広く調査を行うことで、医学的な意味合いでの胃瘻の適応や経口摂取開始基準について考える。さらに、⑤患者のQOL、⑥家族のQOLを併せて調査することで、医学的な意味合いのみならず、死生観などを含めて経口摂取開始や胃瘻抜去の適応基準などを考える。
結果と考察
本年度は主に①から④までの調査に実際に使用する調査票の作成を行った。調査開始は平成23年9月26日であり、本報告書作成のためにデータを集計したのは平成24年1月26日時点のため、3か月間の集計データであり、実際に集計された数は各研究項目において、7件から71件と少数であった。その中で戸原は実際に訪問診療を行った症例について、食形態や栄養摂取方法を調査し、全面的に経口摂取が不能な症例ではなく、胃瘻で禁食もしくは胃瘻と経口摂取を併用しており、嚥下訓練が必要な患者を対象とした。その結果、平均するとかなりの高年齢で身体的な活動の制約が大きい患者が多かった。認知症の程度はさまざまであり、居住形態は在宅が多かった。その他、栄養状態はほぼ全例が低体重を呈していた。
結論
調査票を作成し実際の調査に入ることはできたが、集積された症例数が少ないため引き続き前向き縦断調査を継続することに加えて、本年度で終了する予定であった横断的な調査に関しても継続が必要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2012-06-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201115024Z