高齢者における加齢性筋肉減弱現象(サルコペニア)に関する予防対策確立のための包括的研究

文献情報

文献番号
201115014A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者における加齢性筋肉減弱現象(サルコペニア)に関する予防対策確立のための包括的研究
課題番号
H22-長寿・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
原田 敦(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 細井 孝之(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 臨床研究推進部)
  • 下方 浩史(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 認知症先進医療開発センター)
  • 橋本 有弘(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 再生再建医学研究部)
  • 江頭 正人(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 重本 和宏(東京都健康長寿医療研究センター研究所)
  • 金 憲経(東京都健康長寿医療研究センター研究所)
  • 鈴木 隆雄(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 研究所)
  • 島田 裕之(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 認知症先進医療開発センター)
  • 神崎 恒一(杏林大学 医学部)
  • 金 信敬(健康科学大学 体育学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
18,819,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
加齢性筋肉減弱現象(サルコペニア、以下SP)は高齢者に生活機能低下や虚弱をもたらし重要と認識されていたが科学的対策確立は我が国で皆無だったのでSPに関する基礎、疫学、臨床、予防の多領域研究を行う。
研究方法
基礎ではヒト筋幹細胞不死化技術を適用し成長因子要求性を解析。重症筋無力症動物モデルで電気生理学的手法にて治療法を開発。疫学では無作為抽出住民3,608名でリスク要因を10年縦断網羅的に検討し、別に高齢住民5,111名の横断調査で有症率、ADLとの関連を検討。臨床では骨粗鬆症例での筋量と転倒の関連を431名、活性型ビタミンD剤の筋量増強効果を58例で検討。ビタミンKと体組成を検討。筋量のメタボリスクへの影響を高齢女性90例で検討し、腹部CTで内臓脂肪面積(VFA)も測定。65歳以上の病院通院患者61名にEWGSOPに沿ってSP頻度と転倒を調査。予防介入RCTでは介入参加者を運動+栄養群、運動群、栄養群、健康教育群に分け、運動群に週2回1回60分筋力強化運動を、栄養群にロイシン含有必須アミノ酸3g補充を1日2回3か月行った。太極拳介入で地域住民60名に運動3年実施計画を実施した。
結果と考察
基礎では後期高齢者由来の不死化筋細胞に筋ジストロフィー筋細胞と類似した応答性を示す細胞が存在。シナプス伝導を顕著に改善することでモデルマウスに対して有効な薬物を見いだした。
疫学ではSPは筋量で診断すると運動やエネルギー摂取不足、低血圧等がリスクで、身体機能で診断するとエネルギー摂取不足が最も強いリスクだった。SPはEWGSOPに従って診断すると有症率は11.4%、男性、高齢ほど高く、手段的ADL低下と関連。臨床ではSPは転倒あり骨折あり群で転倒なし群に比して多く、活性型ビタミンDはSP該当者には筋量増加をもたらし、SP非該当者より6.8%多く増加。ビタミンKは骨量増加と脂肪減少をもたらし筋量検討要する。SMIは年齢と負相関,BMI・VFAと正相関し重回帰分析でVFAは正相関,筋量と負相関みられ、高齢女性の筋量減少は内臓脂肪と独立しリスク数増加と関連。男70%、女40%がSP基準を満たし転倒と筋量、握力、歩行速度との関係を調べると筋力のみが有意要因だった。予防介入では運動や栄養補充による単独介入は不十分で運動+栄養補充の複合介入が有効。太極拳的介入では介入後の身体機能、転倒率、QOL、SP関連指標などの測定を行った。
結論
SPに関する科学的対策確立の多領域研究を行った。

公開日・更新日

公開日
2012-06-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201115014Z