介護予防の効果検証のための研究-長期コホート研究によるリスク評価と介入研究による検証

文献情報

文献番号
201115013A
報告書区分
総括
研究課題名
介護予防の効果検証のための研究-長期コホート研究によるリスク評価と介入研究による検証
課題番号
H22-長寿・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
下方 浩史(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 予防開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉田 英世(地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター)
  • 細井 孝之(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 臨床研究推進部)
  • 辻 一郎(東北大学大学院医学系研究科)
  • 松下 健二(独立行政法人 国立長寿医療研究センター 口腔疾患研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
16,214,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域における虚弱高齢者の実態を明らかにするとともに、介護予防施策の効果を検証することを目的に研究を行った。
研究方法
運動器の機能向上、栄養改善、口腔機能の向上、閉じこもり予防・支援、認知症予防・支援、うつ予防・支援の6分野における介護予防施策の効果を、65歳以上人口約1万人の地域における悉皆調査により検証するとともに、地域住民および患者を対象とした5つの長期コホート研究により虚弱高齢者の実態を明らかにした。さらに口腔機能に関しては介入による予防の有効性を検証した。
結果と考察
介護予防事業悉皆調査では基本チェックリストで決定された二次予防事業対象者は要支援・要介護となるリスクが高かった。また二次予防事業対象者のうち介護予防事業参加者と非参加者では参加者で要介護・要支援となるリスクが27%下がっていた。長期コホートによる調査では、4年間の縦断データを用いて、歩行機能を中心としたADLの低下の要因を網羅的に検討した。その結果、筋力や運動機能が最も重要であり、握力が10 kg低下するとADL低下のリスクは約2倍に増加していた。大腿四頭筋の筋力もやはり10 kg低下するとADL低下のリスクは約2倍であった。栄養ではたんぱく質摂取量低下がADL低下のリスクになっていた。血清総コレステロール低値と要介護認定リスクとの間に有意なリスク上昇がみられた。また、要介護を予測する新たな指標として尿中ペントシジンに注目して、死亡と要介護状態への移行をアウトカムとした解析を行った(平均観察期間8年)。その結果、尿中ペントシジン高値群における死亡と要介護状態への移行が有意に高率に発生していた。口腔ケアの介入研究では、介入終了時に認知機能(MMSE)の改善とともに、心理状態の変化も顕著に認められた。口腔の健康度の改善は介入終了3ヶ月後および8ヶ月後にも認められ、口腔ケアに対する住民の意識向上とセルフケア行動が維持されていることが明らかになった。
結論
ADLの維持には筋力や運動機能を保つことが重要であること、血清コレステロールや尿中ペントシジンが要介護を予測する指標となることを明らかにした。また、地域での介護予防事業に関しての検討では、介入による要支援・要介護予防効果が認められた。

公開日・更新日

公開日
2012-06-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201115013Z