文献情報
文献番号
201115009A
報告書区分
総括
研究課題名
骨粗鬆症椎体骨折に対する低侵襲治療法の開発
課題番号
H21-長寿・一般-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
四宮 謙一(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 大川 淳(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
- 永田 見生(久留米大学医学部整形外科学教室)
- 市村 正一(杏林大学医学部整形外科学教室)
- 徳橋 泰明(日本大学医学部整形外科学系整形外科学分野)
- 武政 龍一(高知大学医学部整形外科)
- 千葉 一裕(北里研究所整形外科)
- 中村 博亮(大阪市立大学区医学部研究科整形外科)
- 戸川 大輔(浜松医科大学整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
18,566,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
椎体形成術は高齢者を対象としており、より低侵襲で有効性の高い方法を確立する目的で、一定の基準を満たす症例に対して、分担研究者ごとに麻酔法、充填する骨セメント、椎体形成手技の異なる5つの方法(各術式20例が目標)で治療を行ってきた。
本年度は、平成22年度中に治療が行われた症例に対して、画像および臨床成績データの収集と解析を行うことを目的とした。また、一部の症例を対象にした疼痛の客観的評価基準の策定、およびより有効性の高い椎体形成術の開発を目標にした基礎研究を継続する。
本年度は、平成22年度中に治療が行われた症例に対して、画像および臨床成績データの収集と解析を行うことを目的とした。また、一部の症例を対象にした疼痛の客観的評価基準の策定、およびより有効性の高い椎体形成術の開発を目標にした基礎研究を継続する。
研究方法
椎体形成術主要評価項目を日本整形外科学会腰痛評価質問票(JOA-BPEQ)、VAS、SF36を用いた臨床的成績とした。副次評価項目を、椎体骨癒合・偽関節発生および神経学的異常、合併症発生率とした。手術後2、4、12、24、48週の時点で、定められた調査および画像の撮影を行った。データを主任研究者のもとに集積し、画像は第三者の専門医3名により判定し、臨床データは統計学の専門家により解析が行われた。
有効性の客観的評価については、表面筋電計を用いた非侵襲的検査法により 椎体形成術前後での腰背筋の筋活動および筋疲労度から疼痛の有無を客観的に評価することができるかを検討した。また、基礎的研究では、すでに米国FDAで認可されているPDGFbbが有する骨芽細胞リクルートの効果を検討する。
有効性の客観的評価については、表面筋電計を用いた非侵襲的検査法により 椎体形成術前後での腰背筋の筋活動および筋疲労度から疼痛の有無を客観的に評価することができるかを検討した。また、基礎的研究では、すでに米国FDAで認可されているPDGFbbが有する骨芽細胞リクルートの効果を検討する。
結果と考察
平成22年度に治療可能で、術後48週まで経過を観察できたのは、条件を厳格にしたため68例であった。基本的にどの手術方法、どの指標においても術後改善が得られたが、術式間の比較では、椎体の圧迫を整復したのちに骨セメントを注入する術式の成績が良い傾向にあった。椎体形状は術直後に得られた整復状態がその後も比較的保たれていたが、全身麻酔下で整復操作を行った群が優れていた。有害事象としては手術と無関係に発生した脳梗塞が1例、変形の進行による再手術が3例、隣接椎体骨折が4例に認められた。以上の結果から、椎体形成術では全身麻酔下での整復操作を行うべきであり、局所麻酔下での形成術は一定の効果はあるものの、有効性は劣ると判断された。また、筋電計による痛みの評価は可能であり、基礎的研究でもPDGFbbの有効性が確認された。
結論
椎体形成術の臨床的効果はどの術式においても得られたが、1割に有害事象が認められた。とくに整復操作が術後成績向上には必要で、椎体形成術には慎重な術式選択が必要と思われた。さらに、治療の標準化には、保存治療と同様、さらに症例を増やした検討が必要と考えられた。
公開日・更新日
公開日
2012-07-20
更新日
-