医療機関受診者を対象として高齢者骨折の実態調査に関する研究

文献情報

文献番号
201115005A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関受診者を対象として高齢者骨折の実態調査に関する研究
課題番号
H21-長寿・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 直人(新潟大学 教育研究院医歯学系)
研究分担者(所属機関)
  • 萩野 浩(鳥取大学医学部保健学科)
  • 山下 敏彦(札幌医科大学医学部)
  • 齋藤 知行(横浜市立大学大学院医学研究科運動器病態学)
  • 金谷 文則(琉球大学医学部整形外科学)
  • 山本 智章(新潟医療福祉大学転倒予防センター)
  • 田邊 直仁(新潟県立大学人間生活学部健康栄養学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
4,640,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療機関を受診した高齢者の骨折の実態調査を行い、骨折種類別の骨折発生率、骨折の原因を明らかにし、今後の骨折予防・健康寿命の延伸対策立案に役立てる。
研究方法
全国で地域を設定して、同一期間(平成22年の1年間)、同一地域内のすべての病院、診療所を対象とし、調査することで医療機関を受診した高齢者骨折全患者を捕捉することをめざす。高齢者骨折としては大腿骨近位部骨折、脊椎椎体骨折、橈骨遠位端骨折、上腕骨頸部骨折を対象とした。
結果と考察
北海道地域、神奈川・横浜地域、鳥取・境港地域、沖縄・宮古島地域、山形県・鶴岡地域、新潟県:新潟市、佐渡市、新潟県全県での2010年1年間に発生した骨折を調査した。
骨折発生率は:
大腿骨近位部骨折(対象地域の50歳以上の人口は1,350,200人)2.23骨折/千・年
脊椎椎体骨折  (対象地域の50歳以上の人口は 604,313人)4.10骨折/千・年
上腕骨近位部骨折(対象地域の50歳以上の人口は 604,313人)0.62骨折/千・年
橈骨遠位骨折 (対象地域の50歳以上の人口は 604,313人)1.93骨折/千・年
であり、骨折発生率に地域差があり、西高東低の傾向であった。

 骨粗鬆症性骨折、中でも大腿骨近位部骨折はADL, QOLを低下させ、寝たきりにつながる重篤な骨折である。本研究の結果から大腿骨近位部骨折者は過去25年間増加しており、脊椎骨折は次なる大腿骨骨折のリスクであり、大腿骨近位部骨折者の10%の方が過去に反対側の大腿骨を骨折していた。親子関係において、親の骨折歴は骨折リスクとして広く知られており、2006年、2011年骨粗鬆症の治療と予防のガイドラインでも明示されている。
 骨折リスクに注目し、骨折高リスク者への対応をめざすことは医療資源の活用においても有用と考えられる。したがって骨折予防戦略として3つの骨折連鎖を断つことをめざすべきであろう。「脊椎骨折から大腿骨近位部骨折への連鎖」、「一側の骨折から反対側の大腿骨近位部骨折への連鎖」、「母から娘への親子骨折の連鎖を断つ」ことである。
結論
大腿骨近位部骨折数は過去に比して25年間でおよそ5倍に増加し、既存骨折が骨折リスクであり、骨粗鬆症に対する薬剤治療率が低いことに注目して対策を立てることが必要である。

公開日・更新日

公開日
2012-06-18
更新日
-

文献情報

文献番号
201115005B
報告書区分
総合
研究課題名
医療機関受診者を対象として高齢者骨折の実態調査に関する研究
課題番号
H21-長寿・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 直人(新潟大学 教育研究院医歯学系)
研究分担者(所属機関)
  • 萩野 浩(鳥取大学医学部保健学科)
  • 山下 敏彦(札幌医科大学医学部)
  • 齋藤 知行(横浜市立大学大学院医学研究科運動器病態学)
  • 金谷 文則(琉球大学医学部整形外科学)
  • 山本 智章(新潟医療福祉大学転倒予防研究センター)
  • 田邊 直仁(新潟県立大学人間生活学部健康栄養学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療機関を受診した高齢者の骨折の実態調査を行い、骨折種類別の骨折発生率、骨折の原因を明らかにし、今後の骨折予防・健康寿命の延伸対策立案に役立てる。
研究方法
全国で地域を設定して、同一期間(平成22年の1年間)、同一地域内のすべての病院、診療所を対象とし、調査することで医療機関を受診した高齢者骨折全患者を捕捉することをめざす。高齢者骨折としては大腿骨近位部骨折、脊椎椎体骨折、橈骨遠位端骨折、上腕骨頸部骨折を対象とした。
結果と考察
北海道地域、神奈川・横浜地域、鳥取・境港地域、沖縄・宮古島地域、山形県・鶴岡地域、新潟県:新潟市、佐渡市、新潟県全県での2010年1年間に発生した骨折を調査した。
骨折発生率は:
大腿骨近位部骨折(対象地域の50歳以上の人口は1,350,200人)2.23骨折/千・年
脊椎椎体骨折  (対象地域の50歳以上の人口は 604,313人)4.10骨折/千・年
上腕骨近位部骨折(対象地域の50歳以上の人口は 604,313人)0.62骨折/千・年
橈骨遠位骨折 (対象地域の50歳以上の人口は 604,313人)1.93骨折/千・年
であり、骨折発生率に地域差があり、西高東低の傾向であった。

 骨粗鬆症性骨折、中でも大腿骨近位部骨折はADL, QOLを低下させ、寝たきりにつながる重篤な骨折である。本研究の結果から大腿骨近位部骨折者は過去25年間増加しており、脊椎骨折は次なる大腿骨骨折のリスクであり、大腿骨近位部骨折者の10%の方が過去に反対側の大腿骨を骨折していた。親子関係において、親の骨折歴は骨折リスクとして広く知られており、2006年、2011年骨粗鬆症の治療と予防のガイドラインでも明示されている。
 骨折リスクに注目し、骨折高リスク者への対応をめざすことは医療資源の活用においても有用と考えられる。したがって骨折予防戦略として3つの骨折連鎖を断つことをめざすべきであろう。「脊椎骨折から大腿骨近位部骨折への連鎖」、「一側の骨折から反対側の大腿骨近位部骨折への連鎖」、「母から娘への親子骨折の連鎖を断つ」ことである。
結論
大腿骨近位部骨折数は過去に比して25年間でおよそ5倍に増加し、既存骨折が骨折リスクであり、骨粗鬆症に対する薬剤治療率が低いことに注目して対策を立てることが必要である。

公開日・更新日

公開日
2012-06-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-03-06
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201115005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
北海道地域、神奈川・横浜地域、鳥取・境港地域、沖縄・宮古島地域、山形県・鶴岡地域、新潟市、佐渡市、新潟県全県での2010年1年間に発生した骨折を調査した。骨折発生率はそれぞれ、大腿骨近位部骨折2.23骨折/千・年であり(対象地域の50歳以上の人口は1,350,200人)、脊椎椎体骨折4.10骨折/千・年、上腕骨近位部骨折0.62骨折/千・年、橈骨遠位骨折1.93骨折/千・年(対象地域の50歳以上の人口は 604,313人)であり、骨折発生率に地域差があり、西高東低の傾向であった。
臨床的観点からの成果
本研究の結果および新潟県全県における1985年以来の骨折調査結果から大腿骨近位部骨折者は過去25年間でおよそ5倍の増加であった。脊椎骨折は次なる大腿骨近位部骨折のリスクであり、大腿骨近位部骨折者の10%の方が過去に反対側の大腿骨を骨折していた。このように骨折の連鎖が大きな問題であることが明らかになった。
ガイドライン等の開発
特記なし
その他行政的観点からの成果
骨折リスクに注目し、骨折高リスク者への対応をめざすことは医療資源の活用においても有用と考えられる。したがって骨折予防戦略として3つの骨折連鎖を断つことをめざすべきであろう。「脊椎骨折から大腿骨近位部骨折への連鎖」、「一側の骨折から反対側の大腿骨近位部骨折への連鎖」、「母から娘への親子骨折の連鎖を断つ」ことであると考えられる。
その他のインパクト
欧州では大腿骨近位部骨折発生率が減少に転じているが、本研究結果では日本において骨折発生率は減少していないことが明らかとなった。既存骨折が骨折リスクであることの認識が低く、骨粗鬆症に対する薬剤治療率が低いことが問題として明らかとなった。

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
12件
その他論文(和文)
58件
その他論文(英文等)
6件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
2017-10-03

収支報告書

文献番号
201115005Z