文献情報
文献番号
201115004A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の経口摂取の維持ならびに栄養ケア・マネジメントの活用に関する研究
課題番号
H21-長寿・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
葛谷 雅文(名古屋大学大学院医学系研究科 発育・加齢医学講座(地域在宅医療学・老年科学分野))
研究分担者(所属機関)
- 杉山 みち子(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科)
- 加藤 昌彦(椙山女学園大学生活科学部)
- 合田 敏尚(静岡県立大学食品栄養科学部)
- 高田 和子(独立行政法人国立健康・栄養研究所 健康増進研究部)
- 梶井 文子(聖路加看護大学看護学部)
- 菊谷 武(日本歯科大学生命歯学部)
- 榎 裕美(愛知淑徳大学健康医療科学部スポーツ・健康医科学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
11,690,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
前向き調査により摂食嚥下機能の一年間の変化を明らかにし、増悪(改善)因子を抽出すること、介護保険施設における看取り介護関連加算と終末期の栄養ケア・マネジメントとの関連を明らかにする、地域で栄養ケア連携の推進に向けての多職種勉強会の実施ならびにその評価、などを目指す。
研究方法
初年度の横断調査のサンプルを用いその後一年間の縦断調査を実施した。登録時の種々の因子、入院歴などのイベント発生をvariables として使用したmultivariate logistic regression model により経口摂取維持に対する阻害因子、さらには促進因子を抽出した。介護老人福祉施設における終末期栄養ケア・マネジメントに関わり、最後まで経口摂取により看取った経験のある管理栄養士への面接調査を実施した。さらに管理栄養士、医師、看護師、介護職の4職種らを対象にデルファイ法を実施し、栄養ケア・マネジメントプロセスチェックリスト作成した。
結果と考察
施設の経口維持加算算定相当の対象者の一年間の観察で、「さらなる摂食嚥下能力の低下」を69.4%に認めた(改善は13.8%)。摂食嚥下機能の増悪因子は、男性、窒息の既往、ADL、車椅子やベッド上での食事摂取、食事中の意識レベル、30分以上の食事時間、食事中の3回以上のむせであった。施設で栄養ケアチームとして、歯科医・歯科衛生士・言語聴覚士が参画する多職種栄養ケアが実施されると栄養状態が有意に改善した。以上より、既に摂食嚥下障害を抱える多くの施設入所中の高齢者は、多職種による介入、特に管理栄養士と言語聴覚士や歯科医師との協働が摂食嚥下障害の悪化を防ぐ可能性がある。介護施設では最後まで経口摂取にこだわって看取った経験のある施設が多く存在したが、多職種による取り組み体制や計画の作成に対する指針やマニュアルが作成されていなかった。管理栄養士、医師、看護師、介護職の4職種らを対象にデルファイ法を実施し、『食べること』を支援し看取りを実施するための多職種による栄養ケア・マネジメントプロセスチェックリスト作成した。
結論
介護老人保険施設では多くの摂食嚥下障害高齢者が存在しているが、リハビリテーションなど適切な介入が行われておらず、多くの高齢者はさらに摂食嚥下障害の悪化を経年的に起こす。今後管理栄養士や言語聴覚士や歯科医師などとの多職種による協働が必要である。
公開日・更新日
公開日
2012-06-18
更新日
-