文献情報
文献番号
201114051A
報告書区分
総括
研究課題名
東日本大震災が治験等に及ぼした影響の調査と今後の対策に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H23-臨研推・指定-013
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
楠岡 英雄(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
研究分担者(所属機関)
- 渡邉 裕司(浜松医科大学)
- 武田 和憲(独立行政法人国立病院機構仙台医療センター臨床研究部)
- 山本 学(日本医師会治験促進センター研究事業部)
- 石橋 寿子(聖路加国際病院研究管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は平成23年3月11日に発生した東日本大震災とそれに付随して起こった災害が治験・臨床研究に及ぼした影響を明らかにし、大規模災害発生時に治験・臨床研究の科学性・倫理性・信頼性を確保するために取るべき施策の検討を目的とした。
研究方法
治験実施者を対象とした調査を平成24年1月にWebアンケートシステムを用いて実施した。なお、治験依頼者に関しては、日本製薬工業協会等が実施した調査結果の提供を受けた。また、臨床研究に関しては被災地を中心とした大規模コホート研究の研究事務局にて聞き取り調査を行った。
結果と考察
回答のあった治験実施施設171件を解析対象とした。被災地から5件、計画停電地域から37件、その他から93件、SMOから36件であった。
1)大震災の影響は全国に及んでいた。
2)治験業務に関しては、検査業務、治験薬・治験機器の管理、スタッフ間の連携、被験者対応等に影響が及び、プロトコル逸脱の原因にもなっていた。これら影響の多くは3-4日で回復したが、SDVへの影響の回復には被災地や計画停電地域では1ヶ月程度かかった。
3)電子カルテの使用は約70%であった。電子カルテのデータを病院外に保存しているのは15%弱であった。今後、病院外に電子カルテ・データを保存する予定のない病院が8割を占めた。
4)被験者の安否確認は、被災地で8割、計画停電地域では41%、それ以外では16%が実施していた。方法はほとんどが電話であった。
5)防災対策マニュアルは75%の医療機関が持っていた。しかし、治験業務に関する防災マニュアルはほとんどが持っていない。
6)災害時マニュアルに取り入れるべきものとしては、自家発電等停電に対応する設備、被験者との連絡方法、治験依頼者との連絡方法が上位を占めた。
7)治験のリスク管理として取り組むべきこととしては、「被験者との連絡」、「通信手段の確保」が主にあげられていた。これらの結果は、日本製薬工業協会、日本医療機器産業連合会が実施した調査結果とよく整合していた。
1)大震災の影響は全国に及んでいた。
2)治験業務に関しては、検査業務、治験薬・治験機器の管理、スタッフ間の連携、被験者対応等に影響が及び、プロトコル逸脱の原因にもなっていた。これら影響の多くは3-4日で回復したが、SDVへの影響の回復には被災地や計画停電地域では1ヶ月程度かかった。
3)電子カルテの使用は約70%であった。電子カルテのデータを病院外に保存しているのは15%弱であった。今後、病院外に電子カルテ・データを保存する予定のない病院が8割を占めた。
4)被験者の安否確認は、被災地で8割、計画停電地域では41%、それ以外では16%が実施していた。方法はほとんどが電話であった。
5)防災対策マニュアルは75%の医療機関が持っていた。しかし、治験業務に関する防災マニュアルはほとんどが持っていない。
6)災害時マニュアルに取り入れるべきものとしては、自家発電等停電に対応する設備、被験者との連絡方法、治験依頼者との連絡方法が上位を占めた。
7)治験のリスク管理として取り組むべきこととしては、「被験者との連絡」、「通信手段の確保」が主にあげられていた。これらの結果は、日本製薬工業協会、日本医療機器産業連合会が実施した調査結果とよく整合していた。
結論
1)治験・臨床研究に関する災害時の対応マニュアルを作成済・作成中・作成予定の施設は2割程度である。今後、ひな形を示し、各施設・SMOでの対応を整える必要がある。
2)災害対応マニュアルには、被験者との連絡方法、治験依頼者との連絡方法、自家発電等の停電に対する対応、治験薬の備蓄・代替などを盛り込むことが求められる。
3)データの信頼性確保については、今回の大震災では大きな影響は被らなかったが、電子カルテのデータバックアップが不十分な施設も多く、今後、検討が必要である。
2)災害対応マニュアルには、被験者との連絡方法、治験依頼者との連絡方法、自家発電等の停電に対する対応、治験薬の備蓄・代替などを盛り込むことが求められる。
3)データの信頼性確保については、今回の大震災では大きな影響は被らなかったが、電子カルテのデータバックアップが不十分な施設も多く、今後、検討が必要である。
公開日・更新日
公開日
2012-06-26
更新日
-