早期乳がんに対するラジオ波熱焼灼療法の標準化に係る多施設共同臨床研究

文献情報

文献番号
201114045A
報告書区分
総括
研究課題名
早期乳がんに対するラジオ波熱焼灼療法の標準化に係る多施設共同臨床研究
課題番号
H23-臨研推・一般-007
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
木下 貴之(独立行政法人 国立がん研究センター中央病院 乳腺科・腫瘍内科)
研究分担者(所属機関)
  • 高畠 大典(独立行政法人 国立病院機構四国がんセンター 乳腺外科)
  • 山本 尚人(千葉県がんセンター 乳腺外科)
  • 藤澤 知巳(群馬県立がんセンター 乳腺科)
  • 増田 慎三(独立行政法人 国立病院機構大阪医療センター 乳腺外科)
  • 津田 均(独立行政法人 国立がん研究センター中央病院 病理科・臨床検査科)
  • 和田 徳昭(独立行政法人 国立がん研究センター東病院 乳腺科・血液科学療法科)
  • 土井原 博義(岡山大学病院 乳腺・内分泌外科)
  • 高橋 將人(独立行政法人 国立病院機構北海道がんセンター 乳腺外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
乳がんRFA後標準的経過観察法の確立した後、標準治療である乳房温存療法との比較試験を実施し、早期乳癌に対するRFAの標準化に取り組んでいく。
研究方法
初年次にRFA手技の安全性および有効性を確認したPhaseⅠ試験の結果をもとに、「非切除術」としてのRFAの安全性および有効性を検証するための、PhaseⅡを行った。このPhaseⅡ試験
では、1cm以下の早期乳癌をRFA後3ヶ月、12ヶ月の時点の焼灼組織からの針生検から得られる情報、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月の時点での画像情報(超音波検査、MRI、マンモグラフィ)のデータの蓄積を行う。同時に3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月の時点での整容性の評価も実施する。目標症例数は40例で多施設共同研究にて実施している。短期間に頻回実施される検査結果のデータより、RFA後標準的経過観察法の確立を目指す。
結果と考察
2011年12月までに38症例の登録があった。ただし、うち3例はプロトコール逸脱となった。
患者の平均年齢は57.2歳で、腫瘍の平均触診径は6.0mmで、検診発見の非触知症例が15例であった。治療前の画像診断別で平均腫瘍径は、MMG; 4.4mm、 US; 8.2mm, MRI; 9.3mm であった。RFAは全例で全身麻酔下に実施され、平均RFA施行時間は7.2分(3-12分)であった。術中合併症として皮膚熱傷が2例(5.3%)に報告された。平均観察期間は336日(8-732日)で局所再発や遠隔再発は認めていない。3ヶ月目の画像診断にてがんの遺残が疑われた症例が2例、12ヶ月目では1例であった。3ヶ月目の針生検は、27例に施行され4例(15%)にがんの遺残が確認され、プロトコールに従って切除が行われた。12ヶ月目の針生検が行われた17例では一例もがんの遺残や再発は確認されていない。1年目の時点の整容性の評価では、25例がexcellent, 3例がgood, 1例がfairであった。RFAに焼灼効果を判定するには3ヶ月後の針生検が有用であり画像診断にて明らかな遺残を認めるような症例はない。
結論
RFAは早期乳がんに対し有効かつ安全な治療法であり、高い整容性が得られることが確認された。本試験を継続し、引き続きRFAが標準治療である乳房温存術を比較して、局所治療として非劣性であることを実証するための多施設PhaseⅢ試験へと研究をつなげる。

公開日・更新日

公開日
2012-07-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201114045Z