わが国の子宮頸がん検診における新たな検診手法の有効性についての研究

文献情報

文献番号
201114041A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国の子宮頸がん検診における新たな検診手法の有効性についての研究
課題番号
H23-臨研推・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
青木 大輔(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 寛(東京慈恵会医科大学附属柏病院)
  • 吉川 裕之(筑波大学・大学院人間総合科学研究科)
  • 斎藤 博(独立行政法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センター 検診研究部)
  • 竹内正弘(北里大学 薬学部)
  • 片渕秀隆(熊本大学大学院生命科学研究部)
  • 濱島ちさと(独立行政法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センター 検診研究部 検診評価研究室)
  • 八重樫伸生(東北大学 医学部)
  • 宮城悦子(横浜市立大学附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、わが国において最も効果的な子宮頸がん検診手法を明らかにするために、まず新規手法と細胞診(従来法)との精度を比較するためのプロトコルを作成することである。
研究方法
子宮頸がん検診新規手法として液状検体法(LBC:liquid-based cytology)、ヒトパピローマウイルスDNAの検出(HPV test)、免疫細胞学的検査(p16、Ki67検査)、さらにLBC自動スクリーニング支援装置に関して、既存の情報収集を行った上で、従来法と比較するプロトコルを作成した。
結果と考察
プロトコルの内容は以下の通りである。任意型検診受診者、子宮頸部上皮内病変あるいは細胞診異常を指摘された女性を対象として、子宮頸部より子宮頸部擦過物の採取を行い、スプリット・サンプル法で細胞診(従来法)用にスライドグラスに塗布した後、残存サンプルをLBC固定液に懸濁し、新規検査に供する。細胞診(陽性)/HR-HPV(陽性・陰性)群と細胞診(陰性)/ HR-HPV(陽性(25歳以上))群はコルポ診および生検を実施する。また、初回検査時にコルポ診と生検を実施した被験者は、1年後のフォローアップ時もコルポ診・生検を実施する。LBC固定液に懸濁したサンプルを使ってHPV検査、LBC細胞診、p16, Ki6の検出を行う。主要評価項目は、従来法およびHPV Test結果に基づき、子宮頸部病変の検出におけるHR-HPVおよびHPV16/HPV18型検査の性能を従来法と比較することとした。副次評価項目は、従来法およびHPV Test結果に対する子宮頸部病変の相対リスクを評価することとした。さらにLBCについては自動スクリーニング支援装置の有用性についても従来法と比較して評価するものとする。従来法と比較しつつ新規検査法の精度を科学的に提示する本研究は、地域住民検診などでの最も精度の高い検診手法の選択を可能にすることを通じて国民の健康・福祉に貢献できると考えられる。
結論
従来法によるがん検診はその死亡率減少効果が確認されていることから、新規手法の無作為化比較対照試験による従来法との精度比較の結果は、間接的ではあるものの新規手法の死亡率減少効果の評価へと発展でき、今後の大規模なpopulation-basedの比較試験の立案に際しての重要な背景データとなることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2012-06-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201114041C

成果

専門的・学術的観点からの成果
子宮頸がん検診の新たな手法として液状検体法やヒトパピローマウイルスDNAの検出(HPV test)などが開発され、従来法である子宮頸部擦過細胞診と新規手法を比較する必要性が生じている。新規手法の導入に際してはまず、わが国で独自に従来法との精度(感度・特異度)比較を行なう必要がある。そこで、「子宮頸部擦過細胞診(従来法)を対照とした液状検体細胞診(LBC法)とHPV DNA検査の精度についての比較研究」との課題名でプロトコルを作成した。
臨床的観点からの成果
がん検診はがんを早期に発見し、治癒に導くことによって死亡率を減少させることにある。本プロトコルに基づく研究が実施されれば、間接的ではあるが新規手法の死亡率減少効果についての評価が可能となる。
ガイドライン等の開発
プロトコル作成が目的であったので、該当せず。
その他行政的観点からの成果
本研究で作成されたプロトコルは研究実施を目途に改変され、平成25年度の厚生労働省による「HPV検査検証事業」と一体的に進められる研究班の観察研究のプロトコルに発展し、「子宮頸がん検診における細胞診とHPV検査併用の有用性に関する研究」として開始された。本研究結果が得られれば、科学的根拠に基づくがん検診手法の選択に貢献できることが期待される。
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
日本産科婦人科学会雑誌、癌と化学療法
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-06-20
更新日
2021-06-01

収支報告書

文献番号
201114041Z