バイオマーカー可溶型LR11による病的未分化細胞疾患の新規診断と標的治療の開発

文献情報

文献番号
201114028A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオマーカー可溶型LR11による病的未分化細胞疾患の新規診断と標的治療の開発
課題番号
H22-臨研推・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
武城 英明(千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 白井 厚治(東邦大学医療センター)
  • 代田 浩之(順天堂大学医学部)
  • 三井田 孝(順天堂大学医学部 )
  • 田丸 淳一(埼玉医科大学総合医療センター)
  • 中世古 知昭(千葉大学大学院医学研究院)
  • 池内 健(新潟大学脳研究所)
  • 鈴木 博(新潟大学医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究申請者が病的未(脱)分化細胞遺伝子として世界で初めてクローニングし動脈硬化の血中バイオマーカーとして産学連携で血中濃度測定系の樹立に至った病的未分化細胞や脱分化細胞に特異的に発現する可溶型受容体LR11を標的にした新規抗体療法を開発し、あわせて、血管病、血液疾患、神経疾患を対象疾患とする臨床試験計画のためのエビデンス構築を行い、世界初の未(脱)分化細胞マーカー診断に基づく病的未(脱)分化細胞疾患に対する新規治療法を提示する。
研究方法
標的治療に関する基礎研究(LR11 ELISA系キットの樹立とその市場化とcDNA直接免疫法による網羅的可溶型LR11抗体の調整と用量反応性試験)と診断・治療指針のための臨床研究(専門施設におけるエビデンス構築)により実施する。
結果と考察
基礎研究により、LR11結晶化解析に基づいて作成した抗原を用い候補抗体を獲得した。産学連携しLR11測定ELISA系の市販化に至った。エビデンス解析から以下の成果が得られた。1)LR11結晶化解析に成功しそれに基づいて作成した抗原から候補抗体を獲得した、2)産学連携しLR11測定ELISA系の市販化に至った、3)急性冠症候群の血中LR11値は安定型狭心症患者に比べて上昇する、4)糖尿病細小血管症で血中LR11値が特異性、感受性ともに高く上昇する、5)可溶型LR11は川崎病の冠動脈後遺症を反映する、6)急性白血病、急性リンパ腫で血中LR11値が著しく上昇し治療予後を規定する、7)腫瘍細胞のLR11発現は急性リンパ腫の悪性転化の病態を表す、8)髄液中LR11はアポ蛋白Eと結合しその結合能の差異がアルツハイマー病の発症を制御する、9)アルツハイマー病の遺伝子多型、髄液中病因物質と血中LR11値が関連する、10)アルツハイマー病の血漿可溶型LR11は脳脊髄液濃度と異なり低値を示す。 
結論
来年度,抗体療法開発研究は候補抗体の機能修飾特性を評価する。エビデンス構築研究はLR11測定系を樹立し市場化したことから、広い研究協力施設による地域的偏在を無くした信頼性の高いエビデンスを構築することに取り組む。これらをあわせて、未分化細胞疾患という新たな細胞診断に基づく特異的治療法を提示し、異なった病態で捉えられてきた血管病、悪性血液疾患、認知症の医療に共通の疾患概念を提示する。

公開日・更新日

公開日
2012-06-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201114028Z