将来出現が予想される新型インフルエンザに即応できる次世代ワクチンの臨床応用に向けた研究

文献情報

文献番号
201114017A
報告書区分
総括
研究課題名
将来出現が予想される新型インフルエンザに即応できる次世代ワクチンの臨床応用に向けた研究
課題番号
H21-臨床研究・一般-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山西 弘一(独立行政法人医薬基盤研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 喜田宏(北海道大学大学院 獣医学研究科)
  • 河岡義裕(東京大学医科学研究所)
  • 長谷川秀樹(国立感染症研究所 )
  • 内田哲也(国立感染症研究所)
  • 内山安男(順天堂大学大学院 医学研究科)
  • 保富康宏(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 岡本成史(独立行政法人医薬基盤研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
60,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2009年に発生した新型インフルエンザ(インフルエンザA(H1N1))は、日本を含む世界各地で流行・感染が拡大し、WHOも2か月後には警戒レベルをフェーズ6に引き上げるなど、社会に多大な影響を与えた。
今回のインフルエンザA(H1N1)は当初想定されていたH5N1の型とは異なったように、今後とも新たに発生するインフルエンザの型を予め予測することは困難である。そのため、将来どのようなインフルエンザが出現しても直ちに対応できる次世代ワクチンを開発することを目的とする。
研究方法
本研究は、研究代表者山西、研究分担者7名(喜田、河岡、長谷川、内田、保富、岡本、内山)の計8名が遂行した。当該年度においては、インフルエンザウイルスの抗原性の検討及びワクチンの力価試験系の構築、種々のアジュバントの検討、新規作成方法による次世代ワクチン効果安全性検討にわけて遂行された。
結果と考察
新たにインフルエンザAウイルス分離同定し、ライブラリーに追加した。各種アジュバント、細胞培養による製造方法並びに経鼻接種ワクチンについて検討した。次世代ワクチンを作成する基盤が整備された。
また、分離株の大半を占めたH5およびH6ウイルスについて抗原性解析を行った結果H5N1高病原性鳥インフルエンザの抗原変異が地域ごとに加速していることも明らかになった。
結論
本研究の成果を確立させ、組み合わせていくことで、我々の目指す次世代ワクチンを作成する方法を確立できる可能性が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2012-08-30
更新日
-

文献情報

文献番号
201114017B
報告書区分
総合
研究課題名
将来出現が予想される新型インフルエンザに即応できる次世代ワクチンの臨床応用に向けた研究
課題番号
H21-臨床研究・一般-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山西 弘一(独立行政法人医薬基盤研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 喜田 宏(北海道大学大学院 獣医学研究科)
  • 河岡 義裕(東京大学医科学研究所)
  • 長谷川 秀樹(国立感染症研究所)
  • 内田 哲也(国立感染症研究所)
  • 内山 安男(順天堂大学大学院 医学研究科)
  • 保冨 康宏(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 岡本 成史(独立行政法人医薬基盤研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2009年に発生した新型インフルエンザ(インフルエンザA(H1N1))は、日本を含む世界各地で流行・感染が拡大し、WHOも2か月後には警戒レベルをフェーズ6に引き上げるなど、社会に多大な影響を与えた。
今回のインフルエンザA(H1N1)は当初想定されていたH5N1の型とは異なったように、今後とも新たに発生するインフルエンザの型を予め予測することは困難である。そのため、将来どのようなインフルエンザが出現しても直ちに対応できる次世代ワクチンを開発することを目的とする。
研究方法
インフルエンザAウイルスの全種類(144種類)のライブラリーを整備、リバースジェネティクス技術によるインフルエンザウイルスの人工合成、経鼻粘膜投与法による不活化ワクチンの研究開発、高効率にCTL誘導できるリポソームをアジュバントとして用いたインフルエンザワクチンの研究開発、経鼻接種を行った場合での抗ウイルス防御効果の誘導の是非及びサルを用いた経鼻投与ワクチンの安全性評価について検討を行った。
結果と考察
鶏卵によるウイルスの培養方法に代わる方法として、Vero細胞などによるウイルス培養の検討を行った。さらに交叉防御効果を誘導できるワクチンを作製するために、経鼻接種によるワクチンデザインの検討を行い、二本鎖RNAとグルカンとの併用やポリガンマグルタミン酸ナノ粒子がインフルエンザヘマグルチニンワクチンにおける有効な粘膜アジュバントになることおよび、不活化全粒子ワクチンの経鼻接種がアジュバントなしでも十分な交叉防御効果を誘導することを明らかにした。
結論
本研究の3年間で、数多くのインフルエンザAウイルスを分離同定し、ウイルス株ライブラリーに保存したこと、培養細胞(Vero細胞)で効率よく増殖するワクチンシードウイルスを作製するための基盤研究を実施したこと、アジュバントの有効性を確認したこと、経鼻インフルエンザワクチンの感染阻止効果を確認した結果から、インフルエンザライブラリーを用いた次世代ワクチンの作製方法並びに接種方法が将来出現が予想される新型インフルエンザ対策に向けて活用できる。

公開日・更新日

公開日
2012-07-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-03-06
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201114017C

成果

専門的・学術的観点からの成果
これまでインフルエンザ不活性化全粒子ワクチンの交叉防御効果に抗ウイルス中和効果が関与するとの可能性について直接明らかにした報告は殆どなかったが、本年度の研究で明らかになった。経鼻投与型インフルエンザワクチンが、交叉防御能を有する分泌型IgA抗体を誘導可能であることが示された。
臨床的観点からの成果
本年度の研究によって、将来どのようなインフルエンザが出現しても直ちに対応できる次世代ワクチンを作成するための基盤が整備され、今後臨床応用に向けた研究が促進された。新型インフルエンザ対策に向けた進展があった。
ガイドライン等の開発
本研究においてはなし。
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
ワクチンシンポジウムの開催(平成18年度より毎年開催)
スーパー特区フォーラム開催(平成20年度より毎年開催)

発表件数

原著論文(和文)
10件
原著論文(英文等)
103件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
74件
学会発表(国際学会等)
28件
その他成果(特許の出願)
1件
「出願」「取得」計6件
その他成果(特許の取得)
6件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Okamoto,S.,Matsuura,M., Akashi,M., Tanimoto,T.,Ishikawa,T., Takahashi,M.,Yamanishi,K., Mori,Y.
Poly(gamma-glutamic acid)nano-particles combined with mucosalinfluenza virus hemagglutinin vaccine Protects against influenza Virus infection in mice
Vaccine , 27 (42) , 5896-5905  (2009)
原著論文2
Ichinohe T, Ainai A , akamura T , Maeyama J, Sawa H, Chiba J, Kurata T, Sata T, Hasegawa H.
Induction of cross-protective immunity against influenza A virus H5N1 by intranasal vaccine with extracts of mushroom mycelia.
J Med Virol , 82 , 128-137  (2010)
原著論文3
Ainai A, Ichinohe T, Tamura S, Kurata T, Sata T, Tashiro M, Hasegawa H.
Zymosan enhances the mucosal adjuvant activity of Poly(I:C) ina nasal influenza vaccine.
J Med Virol , 82 (3) , 476-484  (2010)
原著論文4
Hasegawa H, Ichinohe T, Ainai A, Tamura S, Kurata T.
Development of an inactivated mucosal vaccine for H5N1 influenza virus.
Ther Clin Risk Manag , 5 (1) , 125-132  (2009)
原著論文5
Matsui, M., S. Kohyama, T. Suda, S. Yokoyama, M. Mori, A. Kobayashi, M. Taneichi, and T. Uchida.
A CTL-based liposomal vaccine capable of inducing protection against heterosubtypic influenza viruses in HLA-A*0201 transgenic mice.
Biochem. Biophys. Res.Commun. , 391 , 1494-1499  (2009)
原著論文6
Mori,H., Yamanaka,K., Matsuo,K., Yasutomi,Y. And Mizutani,H
Administration of Ag85B showed therapeutic effects to Th2-type cytokine-mediated acutephase atopic dermatitisby inducing regulatory T cells.
Arch. Dermatol.Res. , 301 , 151-157  (2009)
原著論文7
Koshizuka T, Ota M, Yamanishi K, Mori Y.
Characterization of varicella-zoster virus-encoded ORF0 gene--comparison of parental and vaccine strains.
Virology , 405 (2) , 280-282  (2010)
原著論文8
Ichinohe T, Ainai A, Ami Y, Suzaki Y, Tashiro M, Chiba J, Sata T, Kurata T, and Hasegawa H.
Intranasal administration of adjuvant-combined vaccine protects monkeys from challenge with the highly pathogenic influenza A H5N1 virus.
J Med Virol , 82 (10) , 1754-1761  (2010)
原著論文9
Yamazaki T, Nagashima M, Ninomiya D, Arai Y, Teshima Y, Fujimoto A, Ainai A, Hasegawa H, Chiba J.
Passive Immune-Prophylaxis against Influenza Virus Infection by the Expression of Neutralizing Anti-Hemagglutinin Monoclonal Antibodies from Plasmids.
Jpn J Infect Dis. , 64 (1) , 40-49  (2011)
原著論文10
Maiko Taneichi, Yuriko Tanaka, Terutaka Kakiuchi, Tetsuya Uchida
Liposome-coupled peptides induce long-lived memory CD8+ T cells without CD4+ T cells.
PLoS ONE , 5 (11) , 15091-  (2010)
原著論文11
Yoshida,T., Saito,A., Iwasaki,Y.,Iijima,S., Kurosawa,T., Yasutomi,Y., Hayakawa,T. and Akari,H
Characterization of natural killer cells in tamarins: a technical basis for studies of innate immunity.
Frontiers Microbiol.  (2011)
原著論文12
Shimozawa,N., Sankai,T., Yoshida T., Terao,K., Kurata,T. and Yasutomi,Y.
Simian Retrovirus type D infection in a colony of cynomolgus monkeys.
Comp.Med. , 60 , 51-53  (2010)

公開日・更新日

公開日
2017-06-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201114017Z