文献情報
文献番号
201114010A
報告書区分
総括
研究課題名
光超音波マンモグラフィにおける乳がん診断基準の整備と高機能化のための広帯域PATプローブの開発
課題番号
H21-トランス・一般-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
戸井 雅和(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 椎名 毅(京都大学 医学研究科)
- 富樫 かおり(京都大学 医学研究科)
- 佐藤 亨(京都大学 情報学研究科)
- 浅尾 恭史(キヤノン株式会社 総合R&D本部)
- 金尾 昌太郎(京都大学 医学研究科)
- 片岡 正子(京都大学 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
46,873,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、文部科学省「先端融合イノベーション事業」(京都大学-キヤノン協働研究プロジェクト)の1つとして取り組んでいる「光超音波マンモグラフィ」(以下PAM)の臨床現場への適用を迅速かつ効率的に進める上で必要な、広帯域PATプローブの開発と活用を進めるものである。PAMは被曝の心配がなく、また乳腺密度の高い若年層の乳がん診断に適する超音波像との同時計測も可能なため、高齢者だけでなく30~40歳代の若年層の、乳がん診断の飛躍的な精度向上が期待できる。PAMの臨床応用を迅速かつ適切に行うために、各病態と光音響像との関係を明らかにして診断基準を整備するとともに、新規診断情報を提供しうる画期的な医療機器としての有効性を明らかにすることを本研究の目的とする。
研究方法
本研究テーマではPAMで得られた画像の臨床的価値を明らかにするための診断基準の整備を行う。そこで、PAMで測定されるデータが正しく血管集簇を捉えているかの検証のため、血管像を詳細に解析するための方法を獲得する。その手段として、①新生血管の病理組織学的解析と、②広帯域PATプローブの開発、の2つを研究対象とした。
結果と考察
①PAM試作機による臨床研究を推進するとともに、手術前に撮像したPAM像(血管集蔟度ならびに酸素飽和度)と、手術後の病理標本から得られる免染結果とを対比させるための手法を確立した。
②2つのPATプローブの候補技術(Focus transducerを用いた顕微鏡方式とFabry-Perot型干渉計を用いた光検出方式)について、装置の改良を行った。これを用いて基礎データの取得、ならびに動物実験を行った。またFP方式において世界で初めて高速カメラによる超音波像のイメージングを実現した。
②2つのPATプローブの候補技術(Focus transducerを用いた顕微鏡方式とFabry-Perot型干渉計を用いた光検出方式)について、装置の改良を行った。これを用いて基礎データの取得、ならびに動物実験を行った。またFP方式において世界で初めて高速カメラによる超音波像のイメージングを実現した。
結論
従来の血管集蔟度の病理画像解析に加え、低酸素マーカー画像を組み合わせた解析手法の検討を開始し、PAMによる酸素飽和度像を用いた画像診断基準を構築する可能性を示した。広帯域PATプローブ製作に関し、光音響顕微鏡方式を用いてin vivoでマウス腫瘍血管をクリアに描出した。FP方式については、高速二次元エリアセンサを用いた超音波像取得の成功により、実臨床可能な測定時間で微細血管構造を描出する可能性を得た。これら技術を各分野に適用することで、今後の医学の発展や診断・治療への応用に寄与することが期待できる。
公開日・更新日
公開日
2012-06-29
更新日
-