低侵襲で多剤動態制御可能な薬物徐放デバイスの開発と網膜疾患治療への応用

文献情報

文献番号
201111029A
報告書区分
総括
研究課題名
低侵襲で多剤動態制御可能な薬物徐放デバイスの開発と網膜疾患治療への応用
課題番号
H23-医療機器・若手-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
永井 展裕(東北大学大学院 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 梶 弘和(東北大学 大学院工学研究科)
  • 阿部 俊明(東北大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(医療機器[ナノテクノロジー等]総合推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、失明疾患の上位を占める網膜疾患の治療デバイスとして、強膜上に置くだけの低侵襲な方法で移植できる経強膜ドラッグデリバリーシステム(DDS)を作製し、さらに多剤併用療法に対応するために複数の薬物を任意の速度で徐放できるマルチDDSデバイスを開発することである。H23年度はまず3種類の蛍光色素を用いて多剤動態制御性を検討した。また、臨床薬物としてEdaravone(EDV)とGeranylgeranylaceton(GGA)をDDS化し、網膜光障害モデル動物に対する網膜保護効果を検討した。
研究方法
蛍光色素としてFluorescein、Rhodamine、4',6-diamidino-2-phenylindoleを使用した。蛍光色素ペレットを各色3分の1に切って、各色1個ずつをデバイス内に詰めた。このときペレットのPEGDM/TEGDM組成を様々な組み合わせになるように詰めた(PEGDM=Polyethyleneglycol dimethacrylate、Mw=725、TEGDM=Tryethyleneglycol dimethacrylate、Mw=286)。徐放膜のPEGDM/TEGDM組成は2種類検討した。3色蛍光色素デバイスをラット強膜上に移植し、各色素の網膜移行性を評価した。EDVデバイスおよびGGAデバイスをラット強膜上に移植し、光障害後(8000Lux、18h)に網膜電図(ERG)による網膜機能を評価した。
結果と考察
蛍光色素デバイスではペレットのPEGDM/TEGDM組成に応じて各色素の放出速度を変更できた。すなわちPEGDM比率が高いほど放出速度を早くすることができた。また、徐放膜のPEGDM/TEGDM組成を変えることで、デバイス全体からの放出速度を制御できた。以上より、薬物ペレットと徐放膜のPEGDM/TEGDM組成を様々に組み合わせることで多剤動態を自由に制御できることが示唆された。次に3色蛍光色素の網膜移行性を評価した結果、色素の徐放速度と対応して網膜への色素移行量が変化していた。次にEDVおよびGGAデバイスの光障害に対する網膜保護効果を検討した結果、コントロール群では光障害によってa波、b波ともに7割以上低下したが、EDVおよびGGAデバイスでは有意に波形値の低下が抑制されていた。
結論
結論として、本デバイスは徐放膜と薬物ペレットのPEGDM/TEGDM組成を変えることで多剤動態制御が可能であり、さらに経強膜的に徐放されたEDVおよびGGAは光障害から網膜を保護することが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2012-06-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201111029Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,500,000円
(2)補助金確定額
6,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,104,946円
人件費・謝金 1,769,714円
旅費 93,290円
その他 32,050円
間接経費 1,500,000円
合計 6,500,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-06-16
更新日
-