特異性・汎用性に優れた動脈硬化不安定プラーク分子イメージング剤の開発

文献情報

文献番号
201111028A
報告書区分
総括
研究課題名
特異性・汎用性に優れた動脈硬化不安定プラーク分子イメージング剤の開発
課題番号
H23-医療機器・若手-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小川 美香子(浜松医科大学 メディカルフォトニクス研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 梅田 泉(国立がんセンター東病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(医療機器[ナノテクノロジー等]総合推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
4,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
動脈硬化病変に生じる不安定プラークは、破綻し血管を閉塞させ脳梗塞・心筋梗塞などを引き起こすため、早期に検出し治療を行うことが重要であるが、従来の形態画像診断では不安定性の評価は困難であった。そこで本研究では、簡便で特異的なスクリーニングから詳細な病態評価までを可能とする、包括的な不安定プラーク検出法の確立を目指す。このために、分子イメージング剤として、不安定プラークを標的する部位・放射性標識部位・環境反応性光標識部位・MRIのための金属標識部位を導入した、ナノ粒子(機能性リポソーム)を開発する。
研究方法
平成23年度は、定量評価のための放射性標識機能性リポソームを開発し検討を行うとともに、蛍光標識による特異的イメージングを試みた。不安定プラークに浸潤しているマクロファージは、ホスファチジルセリン(PS)を認識し取り込む性質があることが知られているため、PSを導入したリポソームを作成した。これに、アクティブローディング法により111In標識を施した。次いで、近赤外蛍光物質であるICGを高濃度で内包した。得られたリポソームは、インビトロ、インビボの両面から評価を行った。
結果と考察
111In標識したリポソームは、培養マクロファージへの取り込みをインビトロで確認した後、動脈硬化モデル動物であるapoE KOマウス、WHHLウサギに投与し、動物用SPECTを用いた評価を行い、動脈硬化不安定プラークへの取り込みを画像化することに成功した。次いで、ICGを高濃度にて封入し、濃度消光によりICG蛍光が減弱していることが示された。蛍光はリポソームを破壊することにより復活し、約4倍の蛍光のアクチベーションが認められた。また、マクロファージ内にて光を放出することが確認された。また、apoE KOマウスにて動脈硬化病巣に一致した光シグナルを認めた。
結論
リポソームをPS修飾することにより、マクロファージへのターゲティングをすることができた。また、111In標識リポソームを用いて動脈硬化モデル動物にて、不安定プラークを画像化することに成功し、PSリポソームがインビボにおいても不安定プラークイメージング剤として機能することが示された。さらに、近赤外蛍光物質であるICGを内包することにより、蛍光イメージング剤としての有効性も示唆された。

公開日・更新日

公開日
2012-06-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201111028Z