循環腫瘍細胞観察可能なナノ粒子質量顕微鏡開発に関する研究

文献情報

文献番号
201111021A
報告書区分
総括
研究課題名
循環腫瘍細胞観察可能なナノ粒子質量顕微鏡開発に関する研究
課題番号
H23-医療機器・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
瀬藤 光利(浜松医科大学 医学部 解剖学講座 細胞生物学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 池上 浩司(浜松医科大学 医学部 解剖学講座 細胞生物学分野)
  • 早坂 孝宏(浜松医科大学 医学部 解剖学講座 細胞生物学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(医療機器[ナノテクノロジー等]総合推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
癌の早期診断、予後判定、治療効果判定は重要な課題であり、転移に関する分子機構の解明はこれらの解決の糸口となりうる。循環腫瘍細胞と呼ばれる癌細胞が血液中に存在し転移巣を形成するという概念が提唱されているが、循環腫瘍細胞の質的な評価方法は未だ十分に確立されていない。本研究は、研究代表者が開発した質量顕微鏡装置を用いて循環腫瘍細胞の質的評価を行うことを目的とする。
研究方法
十分なインフォームドコンセントを行い同意の得られた大腸癌・乳癌患者から組織採取及び末梢血の採血を行った。循環腫瘍細胞の精製条件検討のため、モデル血液を用いて蛍光標識化合物、バッファ等につき最適化を行った。接着・洗浄後の細胞回収率に基づき細胞の接着条件についても比較検討しナノ粒子成膜スライドグラスへの接着性検討を行った。臨床検体から循環腫瘍細胞及び原発巣由来細胞を取得し一細胞質量顕微鏡解析した。
結果と考察
結果
循環腫瘍細胞の精製条件を最適化し、安定して循環腫瘍細胞を分離・検出できるようになった。最適な細胞接着条件を明らかにし、スライドグラスへの循環腫瘍細胞の接着と質量顕微鏡観察に成功した。一細胞質量顕微鏡法の解析条件を検討し、細胞が接着した領域に高いシグナル強度で検出される分子を見出すことができた。ナノ粒子成膜処理スライドグラス上に原発巣由来細胞及び循環腫瘍細胞を接着し、一細胞質量顕微鏡解析を行った。

考察
新たな予後因子や治療効果判定の発見に寄与する研究成果を取得することが今後期待される。循環腫瘍細胞は極めて少数であり本研究開始当初は精製の過程で失われることが多かったが、条件最適化により安定して検出・回収することが可能となった。一細胞質量顕微鏡法解析に成功したのは本講座が島津製作所と共同開発した質量顕微鏡装置の利用によるところが大きいと考える。
結論
大腸癌及び乳癌細胞株を用い循環腫瘍細胞を精製・回収するための手法を最適化し、一細胞レベルでのナノ粒子質量顕微鏡法解析を行った。大腸癌と乳癌の担癌患者末梢血から循環腫瘍細胞を精製し質量顕微鏡解析することにより、循環腫瘍細胞の質的評価系を確立した。

公開日・更新日

公開日
2012-06-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201111021Z