ヒト肝細胞キメララットによる新しい創薬評価モデルの開発

文献情報

文献番号
201110033A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト肝細胞キメララットによる新しい創薬評価モデルの開発
課題番号
H23-創薬総合・若手-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
真下 知士(京都大学 大学院医学研究科附属動物実験施設)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬総合推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
創薬候補化合物のスクリーニングおよび前臨床試験では必ず動物実験が行われるが、ヒト薬物動態を正確に予測するためには、動物ーヒト種間での肝臓代謝酵素の違いが問題になることが多い。この問題を解決するために、本研究では、新しい遺伝子改変技術ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)により作製した重症免疫不全ラットに、ヒト肝細胞を移植して模擬的なヒト肝臓を構築することにより、ラット体内でヒト薬物代謝試験を行える新たな創薬モデル基盤を開発する。
研究方法
ZFN 技術によりSCID 、XSCID、およびダブルSCIDラットの作製および評価を行う。また、ナショナルバイオリソースプロジェクト「ラット」に寄託されたさまざまなラット系統の背景に置き換えることで、より重症な免疫不全ラットの作製を目指す。
結果と考察
平成23年度は、ZFN 技術によりSCID 、XSCID、およびダブルSCID(FSG)ラットを作製した。FSGラットにおいて、血中グロブリンレベルの欠失、T細胞、B細胞、NK細胞の欠失など重度の免疫機能不全を確認した。このFSGラットを用いて、1)ヒト卵巣がん細胞を皮下で増殖させること、2)ヒトiPS細胞を精巣に移植することでテラトーマの形成に成功した。平成24年度は、作製された重症免疫不全ラットに、ヒト肝細胞を移植することでヒト肝細胞キメララットを作製する。
結論
 ラット体内でヒト肝臓代謝機能を再構築することができれば、創薬候補化合物のスクリーニング、新規医薬品の薬物代謝、薬効・毒性試験、薬物間相互作用をヒト生体レベルで評価することができるようになる。また、これまで困難であったヒト肝細胞の大量培養・維持が可能となり、ヒト肝細胞の安定的供給源になることが期待される。ヒト肝細胞にしか感染しないウイルス性肝炎モデルや、ヒト病気由来iPS細胞から分化誘導した肝細胞を利用することで、ヒト肝臓病モデルを作製することができる。

公開日・更新日

公開日
2012-07-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-02-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201110033Z