ハイブリッドロングペプチドを用いた革新的次世代がん治療用ワクチンの開発とその臨床効果

文献情報

文献番号
201110029A
報告書区分
総括
研究課題名
ハイブリッドロングペプチドを用いた革新的次世代がん治療用ワクチンの開発とその臨床効果
課題番号
H23-創薬総合・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
西村 孝司(北海道大学 遺伝子病制御研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 北村 秀光(北海道大学 遺伝子病制御研究所)
  • 脇田 大功(北海道大学 遺伝子病制御研究所)
  • 高橋 弘昌(北海道大学病院)
  • 高橋 典彦(北海道大学病院)
  • 奥野 清隆(近畿大学 医学部)
  • 綿谷 正弘(近畿大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬総合推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究において、癌抗原特異的ヘルパーT(Th)細胞とキラーT細胞(CTL)をそれぞれ活性化させるハイブリッドロングペプチド(H/K-HELP)を用いた癌患者に対する癌ペプチドワクチン臨床試験を実施し、日本発の革新的次世代癌免疫治療用ワクチンを開発する。
研究方法
H/K-HELPを用いた癌ワクチン治療の探索的第II相臨床試験の実施に向け、エントリー基準となるSurvivin癌抗原の解析法、評価項目となる免疫モニタリング法、抗腫瘍効果の判定プロトコルを記載した自主臨床試験実施計画書を整備する。また全ての完遂症例を抗腫瘍効果の有無で二つにグループ分けし、グループ間で見られる遺伝子発現の違いから、高い抗腫瘍効果を誘導するための鍵となりそうな因子(バイオマーカー)を探索・同定する付随研究プロトコルを作成し、より精度・効果の高い次世代癌ワクチン開発へと繋げる。
結果と考察
本年度において進行・再発大腸癌あるいは乳癌を対象とした、Survivin-H/K-HELPを用いた癌ワクチン治療の探索的第II相臨床試験を整備し、エントリー基準となるSurvivin癌抗原の解析法、評価項目となる免疫モニタリング法、抗腫瘍効果の判定プロトコルを記載した自主臨床試験実施計画書を作成した。さらに多施設共同による対象患者の適格基準、評価に関する癌抗原発現解析、癌抗原特異的抗体価、T細胞応答評価のバリデーション、データ解析のセントラル化を完了した。本臨床試験について、北海道大学病院自主臨床試験倫理審査委員会、遺伝子病制御研究所倫理審査委員会にて承認され、さらにUMIN臨床試験登録システムに登録(大腸癌: UMIN000007506、乳癌: UMIN000007507) し、実際に大腸癌の患者がエントリーされた。次年度以降、本ペプチドワクチン投与による抗腫瘍効果を検証するとともに、その臨床効果を予見しるバイオマーカーの探索・同定も行うことで、より精度・効果の高い次世代癌ワクチン開発が可能と考えられる。
結論
本研究成果により、進行・再発大腸癌あるいは乳癌に対するハイブリッドロングペプチドを用いた癌ワクチン治療の探索的第II相自主臨床試験を実施する体制が整い、患者のエントリーが開始された。今後、本研究を推進し、ワクチン投与による抗腫瘍効果を精査することにより、患者のQOLを維持しつつ治療を行える日本発の革新的癌治療用ペプチドワクチンの医師あるいは企業主導治験への橋渡しが可能と考える。

公開日・更新日

公開日
2012-07-03
更新日
-

収支報告書

文献番号
201110029Z