粘膜免疫機能を増強する漢方薬の探索とその有効成分の同定

文献情報

文献番号
201110014A
報告書区分
総括
研究課題名
粘膜免疫機能を増強する漢方薬の探索とその有効成分の同定
課題番号
H22-創薬総合・一般-007
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小泉 桂一(富山大学 和漢医薬学総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 國澤 純(東京大学医科学研究所)
  • 条 美智子(富山大学 和漢医薬学総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬総合推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
16,150,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
結核の潜在的流行、新型インフルエンザの発生や懸念される高病原性鳥インフルエンザ等、人類が新興・再興感染症の脅威に直面している現在、効果的な感染症治療・予防法開発、ならびに迅速な医療現場への普及が強く求められている。WHO提言のように、多くの病原体の主要初発感染部位の粘膜組織を標的とした、新規ワクチンおよびそのアジュバントの開発が注目されている。そこで、平本研究事業では、和漢薬をスクリーニング源として、かつ、免疫学的な手法を駆使することで、粘膜ワクチンに対するアジュバント作用を具備する漢方薬を網羅的に探索し、その有効成分の同定と作用機序の解明を行うことを目的としている。
研究方法
平成22年度の本事業において、経口ワクチンのアジュバント効果を有する漢方薬を、in vitro抗原提示試験により、標準和漢薬ライブラリーより探索した結果、数種類の漢方薬に強い活性が確認できた。さらに、これらの漢方薬を経口投与しただけで、マウスの抗原非特異的粘膜IgAの産生が顕著に亢進していた結果から、特に補中益気湯、および黄耆建中湯は、(1)自然免疫応答に基づく粘膜防御強化効果を有その機序は抗体産生細胞の活性化が関与していることが明らかとなった。従って、平成23年度は、上記成果を基に経口ワクチンのアジュバント効果を有する漢方薬と有効成分の探索および作用機序解析を行った。
結果と考察
本年度は、平成22年度の本事業において探索された漢方薬の中で、補中益気湯に焦点を当て、IgA産生増強の作用機序の解明を目的とした研究を遂行した。その結果、補中益気湯によるIgA産生増強効果は経口ワクチンと同時投与した時に認められることを見いだした。これらの結果は補中益気湯が腸管IgA産生の誘導相において作用していることを示唆する結果であると考えられる。さらに、その構成生薬成分である1,2,3,4,6-Penta-O- galloyl-β-D-glucose(PGG)により、明らかな樹状細胞の抗原提示の促進が観察された。さらに、抗原提示能の亢進の機序を調べることで、PGGにより樹状細胞の抗原取り込みの促進ならびに、活性化分子の発現低下が観察された。
結論
次年度は、これら補中益気湯およびPGGとその類縁体の粘膜ワクチンアジュバントの作用メカニズムの詳細を検討していくと共に、実際に感染モデルを用いて生体防御反応をより詳細に検討していく予定である。さらに補中益気湯、PGGおよびその類縁体のアジュバント作用を検討していく予定である。

公開日・更新日

公開日
2012-07-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201110014Z