生体防御タンパク質に注目した、漢方薬の作用メカニズムの解明・有効成分の同定と新規治療薬の開発

文献情報

文献番号
201110012A
報告書区分
総括
研究課題名
生体防御タンパク質に注目した、漢方薬の作用メカニズムの解明・有効成分の同定と新規治療薬の開発
課題番号
H22-創薬総合・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
水島 徹(慶應義塾大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 星野 竜也(熊本大学 大学院生命科学研究部)
  • 田中 健一郎(熊本大学 大学院生命科学研究部)
  • 大塚 雅巳(熊本大学 大学院生命科学研究部)
  • 池田 剛(崇城大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬総合推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
15,810,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究で我々は、漢方薬(生薬)ライブラリーからHSP誘導生薬、及びSOD誘導生薬を検索し、誘導物質の同定、及び動物モデルでの評価を行い、疾患治療薬として開発する化合物を決定する。
研究方法
伝子プロモーターの下流にルシフェラーゼ遺伝子を挿入したプラスミドを導入した細胞を用いて一次スクリーニングを行い、イムノブロット法で二次スクリーニングを行う。毒性の少ない誘導薬を得たいので、三次スクリーニングではその生薬の細胞毒性を調べ、細胞毒性を示さない濃度でHSP47、あるいはHO-1を誘導するものを選択する。四次スクリーニングではその生薬をマウスに投与し、目的のタンパク質を誘導するかを検討する。
結果と考察
平成23年度我々は、本研究の成果であるアルニカの特許を化粧品会社へライセンスアウトし、10月にアルニカを配合した化粧品(抗シミ化粧品)を発売した。HSP70が紫外線による傷害やシミを抑えると共に、紫外線により傷ついた皮膚を修復するという我々の研究成果(JBC 2010(2報)など)が評価され、消費者から高い評価を得ている。
 一方、HSP70誘導生薬(ヤバツイ)から新たにHSP70誘導物質、ユーパリノライドA, ユーパリノライドBを同定した。両物質はテプレノンより30倍以上高い HSP70誘導能を示すにも関わらず、全く毒性を示さなかった(Biochem Pharmacol in press)。また両物質は、胃潰瘍、アルツハイマー病、及び紫外線依存皮膚傷害モデルでテプレノンよりも高い有効性を示した(特許出願済み)。同様の薬理効果はアルニカから単離・同定したHSP70誘導物質・ヘレナリンに関しても見られた。
結論
以上の成果は新規申請時の研究計画よりも研究が順調に進んでいることを示しており、その達成度は100%以上と判断している

公開日・更新日

公開日
2012-07-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201110012Z