人工スーパー癌細胞を用いた生体内“脱癌化”誘導療法の開発

文献情報

文献番号
201109015A
報告書区分
総括
研究課題名
人工スーパー癌細胞を用いた生体内“脱癌化”誘導療法の開発
課題番号
H23-政策探索・若手-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
幸谷 愛(東海大学創造科学技術研究機構)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬探索研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

概要版(繰越課題)
(注)本課題は、平成25年3月31日までの繰越課題となっている。
 2010年の予備実験を踏まえ、本実験のためのモデル系を構築した。“スーパー癌細胞“としては強力な白血病遺伝子“bcr-abl”をマウスB細胞株BaF3細胞に導入した安定株、“普通癌細胞”としては、bcr-ablの下流に存在し、bcr-ablほどは形質転換能の強くない遺伝子“Stat5”をBaF3細胞に導入した安定株を作成した。これらの癌細胞を共培養、単独培養した時の、細胞増殖を調べ、予備実験のとおりStat5-BaF3細胞は単独で培養した時の方がbcr-ablと共培養した時より、増殖が速いという結果を得た。
 更に、マウスに用いて同様の実験を行い、試験管内の実験結果と同じく、単独を接種した場合よりもMixを接種した場合の方が、Stat5-BaF3細胞の増殖が抑制されるという結果を得た。
 この結果は、マウス生体内においては“癌の一人勝ち”性質が、試験管内よりも著明に表れることを示している。本研究課題において、もっとも重要な結果を得たと考えている。
 人工スーパー癌細胞の腫瘍量を厳密にコントロールすることさえ可能となれば、持続的に普通癌細胞の増殖を抑制でき、副作用のない画期的な治療法の開発につながると考えている。
 興味深いことに、Mixにおいて腫瘍浸潤のため腫大した肝臓でスーパー癌細胞(GFP陽性)の局在が、
辺縁部に集中しており、(Fig4)中心部の腫瘍は普通癌細胞であることが明らかになった。
 この局在の差が“癌が一人勝ちを望む”メカニズムの解明のための手がかりになると考えている。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-

収支報告書

文献番号
201109015Z