C型肝炎ウイルスワクチン実用化を目指した基礎的研究

文献情報

文献番号
201109002A
報告書区分
総括
研究課題名
C型肝炎ウイルスワクチン実用化を目指した基礎的研究
課題番号
H23-政策探索・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 孝宣(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 脇田隆字(国立感染症研究所 ウイルス第二部 )
  • 明里宏文(京都大学霊長類研究所・人類進化モデル研究センター )
  • 石井孝司(国立感染症研究所 ウイルス第二部 )
  • 中村紀子(東レ株式会社医薬研究所 )
  • 松本美佐子(北海道大学大学院医学研究科・免疫学 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬探索研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
54,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、培養細胞で作製したC型肝炎ウイルス(HCV)粒子を不活化しワクチン抗原として用いる事で、HCVに対するワクチンを樹立する事である。
研究方法
 HCV JFH-1株とHuH-7細胞を用いた培養細胞でのウイルス粒子生成系を用いてワクチン抗原の作製を行い、そのワクチンを霊長類モデルで評価することによりHCVワクチンの樹立と実用化を目指す。
結果と考察
アカゲザルを用いたHCVワクチンの安全性の評価
 マカク属アカゲザルを用い、HCV不活化粒子ワクチンの接種実験を行った。3匹のアカゲザルを用い、それぞれアジュバントを変えて接種を行った。現在のところ、接種個体において不活化粒子ワクチン投与と因果関係のある異常所見は見つかっていない。

アカゲザル血漿中の抗E1および抗E2抗体価の測定および感染阻害活性の評価
 ワクチン投与を行ったアカゲザルの血漿中のHCV E1およびE2タンパク質に対する抗体価を測定した。その結果、ワクチン抗原として用いたHCV J6株に対する抗体の誘導、および遺伝子型の異なるHCV TH株に対する抗体の産生誘導が確認された。そこで、アジュバントとしてAlumを用いたアカゲザルの免疫後血漿からIgGを精製し、HCVppに対する感染阻害活性を測定した。その結果、免疫後のIgGで用量依存的に感染阻害が観察された。

 上記以外にも、マウスにて不活化粒子免疫により誘導された抗体によるin vivo感染阻害実験、HCVが効率的に増殖複製できる細胞株の分離とその評価、HuH-7細胞以外の培養細胞を用いたHCV粒子産生系の検討、組換えバキュロウイルスを用いたHCVウイルス様中空粒子の作成、TLR3-TICAM-1経路を活性化する新規アジュバントの開発、HCV/GBV-Bキメラウイルス感染マーモセットモデルの確立などの研究を行った。
結論
 霊長類モデル(アカゲザル)を用い、HCV不活化粒子ワクチンの安全性と有効性について評価を行った。3頭のアカゲザルを用い、アジュバントを変えて不活化HCV粒子による免疫を行った。その結果、抗体の誘導が確認された。またワクチン投与に関連した異常所見は認めなかった。さらに、この不活化HCV粒子を用いた免疫により、HCVの感染阻害活性を持つIgGの誘導が確認された。誘導されたIgGは用量依存的に培養細胞へのHCVppの感染を阻害した。

公開日・更新日

公開日
2012-07-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201109002Z