肺がんの分子診断法および分子標的治療法の開発

文献情報

文献番号
201109001A
報告書区分
総括
研究課題名
肺がんの分子診断法および分子標的治療法の開発
課題番号
H23-政策探索・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
間野 博行(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 杉山 幸比古(自治医科大学 医学部)
  • 崔 永林(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 鯉沼 代造(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 竹内 賢吾(がん研究会がん研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬探索研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
60,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肺がんは欧米先進諸国のがん死の最大の原因である。我々は肺がんの新規がん遺伝子EML4-ALKを発見することに成功したが、本研究計画ではEML4-ALKの肺がん原因遺伝子としての役割を証明すると共に、EML4-ALKを標的とした分子診断法および分子標的治療法の開発を目指す。
研究方法
EML4上に4種類およびKIF5B上にも4種類のforward primerを設計し、これら8種類のforward primerに1種類のreverse primer(ALKのエキソン20上に設計)を混和して、EML4-ALKおよびKIF5B-ALKのいずれにおいても全ての融合バリアントを検出可能なマルチプレックスRT-PCR診断システムを構築した。
結果と考察
我々のPCR診断法を用いて、808種類の検体について診断を行った。数十例のEML4-ALK陽性例を検出し、そのうち15名が韓国ソウル大学で行われたALK阻害剤(crizotinib)による第一相臨床試験に参加することができた。なお我々が検出したEML4-ALKには新規バリアントが存在しただけでなく、本ラインin-frameに融合しないエキソンからでもALKエキソン20の内部にスプライシングが飛ぶ形で最終的にin-frameの癒合キナーゼが産生される異型バリアントも2種類発見された。
結論
我々の解析により喀痰・胸水・気管支洗浄液・凍結生標本などRNAを抽出可能な試料からマルチプレックスRT-PCR法によりEML4-ALKを検出可能なことが前向きスタディで証明された。EML4-ALKは肺腺がんの4-5%に存在し、若年者、非喫煙者、軽度喫煙者に多く見られることが確認された。これらの症例はALK阻害剤による分子標的治療の対象となると期待される。また今回の解析によりEML4遺伝子からALK遺伝子への融合ポイントは複数存在することが判った。

公開日・更新日

公開日
2012-07-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201109001Z