キャンディン系抗真菌化合物の生合成経路を利用した新規抗真菌化合物の創出のための基盤的研究

文献情報

文献番号
201108021A
報告書区分
総括
研究課題名
キャンディン系抗真菌化合物の生合成経路を利用した新規抗真菌化合物の創出のための基盤的研究
課題番号
H22-政策創薬・一般-014
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
星野 泰隆(国立感染症研究所 生物活性物質部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
2,640,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
深在性真菌症は、診断、治療、予防が困難であり、さらに免疫力の低下した患者の増加などにより、問題となっている。したがって、治療に特に注意しなければならない。現在、深在性真菌症の治療に関しては、アゾール剤、アンホテリシンBリポソーム製剤、キャンディン系抗真菌薬等が主に利用されている。しかし、アスペルギルス症の増加、アゾール剤への感受性の低下や耐性化などの問題点があり、既存の薬剤での効果は、十分に満足できるものではない。このような状況から、新たな抗真菌薬の臨床導入が待たれている。そこで我々は、解明であるキャンディン系化合物の生合成機構を解明し、生合成経路の改変による新たなキャンディン系抗真菌化合物の創製を目指すことを目的としている。
研究方法
キャンディン系抗真菌化合物アクレアシンを生産するアスペルギルス アクレアタスのゲノム情報から、新たにアクレアシンの生合成に関与する遺伝子を見出すために、バイオインフォマティクスを用いて生合成に関与する遺伝子を推定した。また、生合成経路の改変に必用である効率の良い遺伝子操作系を開発するために、他の生物で利用されているLigD(DNA ligase 4)破壊による相同組換え能の高い株の作成を本菌株で行った。
結果と考察
1年目に実施したアスペルギルス アクレアタスのゲノム解析の結果から得られた配列情報の詳細な解析を継続して行った。昨年度明らかにした候補遺伝子1の周辺領域の遺伝子に関して機能予測を行い、周辺領域には、PKS、p450、水酸化酵素やトランスポーターなどをコードする遺伝子が存在することを明らかにした。これらの遺伝子は、アクレアシンの部分構造の生合成に関わっていると予想した。また、相同組換え能の高い株に関しては、野生株と比較して相同組換え能が10倍程度上昇し、効率よく遺伝子操作が行える系を確立することができた。
結論
本研究において我々は、ゲノム情報をもとにバイオインフォマティクスを利用した詳細な解析によって、昨年度見出した生合成遺伝子以外のいくつかの遺伝子を見出すことができた。また、生産菌の薬剤耐性の解析や、生合成遺伝子の改変に必要である遺伝子操作系の開発なども進めた。今後、本研究の成果を利用して、生合成経路の改変を行うことにより、新規キャンディン系抗真菌化合物の開発が可能になるといえる。

公開日・更新日

公開日
2012-07-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-02-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201108021Z