睡眠障害・生体リズム障害の新規治療薬候補物質の探索

文献情報

文献番号
201108020A
報告書区分
総括
研究課題名
睡眠障害・生体リズム障害の新規治療薬候補物質の探索
課題番号
H22-政策創薬・一般-013
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
肥田 昌子(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神生埋研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
2,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
睡眠障害・生体リズム障害は、一般生活者から精神・神経疾患まで幅広く発症する医学上の課題の一つであるが、疾患特性に合った治療法は未だ確立していない。そこで、本研究では、睡眠障害・生体リズム障害の病態生理の背景に存在する生物時計機構に着目し、時計機能特性に作用する候補物質の探索を行い、新規治療薬へ発展するリード化合物の同定を目的とする。
研究方法
生物時計リポーター遺伝子を安定に発現する不死化線維芽細胞株を用いて、化合物ライブラリーのスクリーニングを完了した。また、健常被験者由来皮膚生検から樹立した初代線維芽培養細胞に生物時計リポーター遺伝子を培養細胞に導入し、リポーター発光リズムを測定した。さらに、被験者の初代培養細胞内におけるリズム特性と睡眠習慣との関連性を検討した。
結果と考察
不死化線維芽細胞株培養細胞中における生物時計リポーター遺伝子発現リズム特性に作用する複数の化合物を単離した。これらの化合物が時計遺伝子転写・翻訳制御 ネットワークに直接作用する候補物質であることが期待される。健常被験者の初代線維芽培養細胞における生物時計リポーター遺伝子発現リズム周期は個人の睡眠習慣と相関性を示した。
結論
本研究では、生物時計機能特性に作用する候補化合物が単離された。また、被験者から樹立した初代線維芽培養細胞における時計遺伝子発現リズムを測定することで、個人の睡眠特性を推測できる可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2012-07-02
更新日
-

文献情報

文献番号
201108020B
報告書区分
総合
研究課題名
睡眠障害・生体リズム障害の新規治療薬候補物質の探索
課題番号
H22-政策創薬・一般-013
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
肥田 昌子(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神生埋研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
睡眠障害・生体リズム障害は、一般生活者から精神・神経疾患まで幅広く発症する医学上の課題の一つであるが、疾患特性に合った治療法は未だ確立していな い。そこで、本研究では、睡眠障害・生体リズム障害の病態生理の背景に存在する生物時計機構に着目し、時計機能特性に作用する候補物質の探索を行い、新規治療薬へ発展するリード化合物の同定を目的とする。
研究方法
生物時計リポーター遺伝子を安定に発現する不死化線維芽細胞株培養細胞内のルシフェラーゼ発光量を多サンプル同時かつリアルタイムに測定することで、化合物ライブラリーのスクリーニング行い、概日リズム特性を修飾する化合物を単離した。また、健常被験者由来皮膚生検から初代線維芽培養細胞を樹立し、生物時計リポーターシステムを利用して、初代培養細胞における時計遺伝子発現リズム(末梢リズム)を決定した。さらに、その末梢リズム特性と日周指向性・睡眠習慣との関係を検討した。
結果と考察
遺伝子転写発現制御に直接作用するとされる化合物ライブラリーをスクリーニングし、生物時計機能特性を調節・修飾する物質を単離した。健常被験者の初代線維芽培養細胞における生物時計リポーター遺伝子発現リズム(末梢リズム)の周期は個人の日周指向性・睡眠習慣と有意な相関性を示した。
結論
本研究では、生物時計機能特性を調節・修飾する候補化合物が単離された。また、末梢リズムを測定することで個人の生物時計機能ならびに睡眠特性を評価できる可能性が示唆され、時計機能・睡眠特性を評価する上で有用なツールとなることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2012-07-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201108020C

成果

専門的・学術的観点からの成果
生物時計機構において重要な役割を担う時計遺伝子群の転写翻訳制御ネットワークに作用する化合物が単離された。これにより時計遺伝子群の制御に関わるシグナル経路が明らかにされ、ヒト生物時計の分子制御機構の解明に寄与すると考えられる。また、生体試料由来の培養細胞における時計遺伝子発現リズム特性が個人の睡眠・生物時計機能特性を反映することが示唆された。
臨床的観点からの成果
睡眠障害・生体リズム障害患者の疾患特性に合った新規治療薬へ発展する可能性がある新規化合物が単離された。また、生体試料を利用して患者個人の生物時計機能評価が可能となることは、生体リズム異常の病態解明に貢献し、正確な診断・効果的な治療設計への発展を促し、テーラーメード医療の提供を実現することが期待される。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
精神疾患・神経疾患の多くは睡眠障害・生体リズム障害が伴うことが知られている。慢性的な不眠や昼夜逆転による生活リズムの崩壊は患者のQOLを低下させるのみならず、介護者の負担を増大させ、在宅療養や社会復帰を阻害する要因の一つと考えられている。また、現代社会では、一般生活者の多くも生活の夜型化やシフトワークなど不規則な生活リズムに悩まされている。本研究課題はこれらの問題を解決する大きな一助となり、人々のQOL向上に貢献できると考えられる。
その他のインパクト
NHK「ここが聞きたい!名医にQ リズム整え解消!睡眠の悩み」(平成24年1月7日放送)。第4回脳プロ公開シンポジウム(平成24年2月4日開催)。生体組織を利用した体内時計機能評価法についてプレスリリースを行い(平成25年7月5日)、朝日新聞、読売新聞などで紹介。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
4件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
10件
学会発表(国際学会等)
5件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Hida A, Kitamura S, Enomoto M et al.
Individual traits and environmental factors influencing sleep timing: a study of 225 Japanese couples
Chronobiology International , 29 (2) , 220-226  (2012)
10.1016/j.lfs.2008.10.012
原著論文2
Watanabe M, Hida A, Kitamura S et al.
Rhythmic expression of circadian clock genes in human leukocytes and beard hair follicle cells
Biochemical Biophysical Research Communications , 425 , 902-907  (2012)
10.1016/j.bbrc.2012.08.008
原著論文3
Hida A, Kitamura S, Ohsawa Y et al.
In vitro circadian period is associated with circadian/sleep preference
Scientific Reports , 3 (2074) , 1-7  (2013)
10.1038/srep02074

公開日・更新日

公開日
2015-05-27
更新日
2016-01-28

収支報告書

文献番号
201108020Z