糖脂質抗原による免疫活性化を応用した呼吸器感染症に対するワクチン開発

文献情報

文献番号
201108019A
報告書区分
総括
研究課題名
糖脂質抗原による免疫活性化を応用した呼吸器感染症に対するワクチン開発
課題番号
H22-政策創薬・一般-012
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
金城 雄樹(国立感染症研究所 生物活性物質部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
3,210,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 日本人の死因第4位である肺炎を予防する有効なワクチン開発は国民の保健医療向上に重要である。本研究では、肺炎の起炎菌として最も頻度の高い細菌の肺炎球菌に対する新しいワクチン開発を目指す。自然リンパ球のNKT細胞が肺炎球菌感染防御に重要な役割を担うという独自の研究成果を基に、NKT細胞活性化を介する新しい手法で肺炎球菌ワクチン開発の基礎的研究を行う。
研究方法
 1. 肺炎球菌莢膜多糖抗原と糖脂質抗原併用ワクチンをマウスに接種し、B細胞の抗体産生への影響を解析した。2.多糖抗原ワクチンによる抗体産生機序を解明するために、Dectin-2という分子を欠損したマウスを用いて、多糖抗原ワクチンによるサイトカイン産生及び抗体産生について解析した。3.肺炎球菌蛋白抗原と糖脂質併用ワクチンによる肺炎球菌感染防御効果について、肺炎球菌感染マウスモデルを用いて評価した。
結果と考察
 肺炎球菌多糖抗原と糖脂質抗原併用ワクチンにより、マウスのB細胞の抗体産生が増加することが分かった。また、肺炎球菌多糖ワクチン抗原の認識にDectin-2という分子が重要な役割を示すことを見出した。Dectin-2を欠損したマウスでは、肺炎球菌多糖抗原ワクチンによるサイトカイン産生および抗体産生の障害を認めた。さらに、マウスに肺炎球菌蛋白抗原と糖脂質抗原を併用接種することにより、血中の蛋白抗原に対する抗体価が上昇することが分かった。また、肺炎球菌蛋白抗原と糖脂質抗原の併用ワクチンにより、肺炎球菌感染後の菌の排除が促進され、高い生存率をもたらすことが分かった。
 以上の結果より、糖脂質抗原によるNKTの活性化は、B細胞の抗体産生を増加させることが示唆された。肺炎球菌ワクチンと糖脂質抗原の併用ワクチンにより、肺炎球菌感染予防効果が増強されることが示唆された。
結論
 糖脂質抗原によるNKT細胞の活性化は、B細胞の抗体産生を増加させると考えられた。肺炎球菌ワクチンと糖脂質抗原の併用ワクチンにより、肺炎球菌感染予防効果が増強されることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2012-07-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-02-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
201108019Z