新規な機序による抗HIV薬剤の開発研究

文献情報

文献番号
201108014A
報告書区分
総括
研究課題名
新規な機序による抗HIV薬剤の開発研究
課題番号
H22-政策創薬・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
杉浦 亙(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター、感染・免疫研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 野村 伸彦(富山化学工業株式会社綜合研究所第3研究部)
  • 田中 晴雄(いわき明星大学薬学部薬学科)
  • 明里 宏文(京都大学霊長類研究所人類進化モデル研究センター)
  • 岩谷 靖雅(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター、感染・免疫研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
8,463,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班では既存の抗HIV薬剤と交差耐性を示さない新規な抗HIV薬剤を開発とその実用化を目指す。
研究方法
次の3つの研究を進める。
(1)低分子抗HIV薬剤実用化研究
強力な抗HIV活性を呈するT-Y化合物群の作用機序解明および実用化に向けての前臨床試験に取り組む。小動物における長期投与毒性評価、霊長類における薬物代謝の分析を行う。
(2)アクチノヒビン(AH)実用化研究
AHの投与経路の検討とそれに対応したAH化合物の最適化に取り組む。カニクイザルを用いたSIV経直腸感染系を用いてAH二量体の有効性を評価する。
(3)霊長類評価研究
T-Y化合物群のカニクイザル単回経口投与時の体内薬物動態を解析する。AHのSIVmac、SHIVに対する阻害活性の評価をin vitroで行う。カニクイザルSHIVの経直腸感染モデルの構築を行う。
結果と考察
(1)低分子抗HIV薬剤実用化研究
良好なHIV阻害活性を示すT-Y類縁化合物を9化合部新たに同定した。T-Y化合物は既販薬と薬剤耐性が交叉しないこと、内在性逆転写反応産物の解析を行った結果、その作用点がHIV複製環の前期過程では無いことが確認された。time of addition試験、TNFαによる潜伏感染細胞の刺激試験でもT-Y化合物の作用点が転写初期にあることが示唆された。マウス一ヶ月反復投与試験では重篤な副作用は認められなかった。
(2)AH実用化研究
直腸・膣局所投与可能なAHの溶解溶媒の検討に取り組んだ。注射薬を目指したpolyethyleneglycol(PEG)化及びstylene malete(SMA)化に関しては、アスパラギン(N)をアスパラギン酸(D)に置換した高溶解性変異体AH(6N→6D)により溶解性を改善する事に成功した。
(3)霊長類評価研
カニクイザルを2頭のSHIV経粘膜感染に成功した。4頭のカニクイザルによるT-YのPK解析および急性毒性解析を試みた。急性毒性は認められなかった。
結論
T-Y化合物およびAHの実用化研究に取り組んだ。早期に実用化の是非について結論を出したい。

公開日・更新日

公開日
2012-07-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201108014Z