ヒト組織・細胞の研究資源としての高度化と公共ヒト組織・細胞バンクシステム利用促進に関する研究

文献情報

文献番号
201108007A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト組織・細胞の研究資源としての高度化と公共ヒト組織・細胞バンクシステム利用促進に関する研究
課題番号
H21-政策創薬・一般-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
後藤 雄一(国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 西野 一三(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第一部)
  • 小林 真一(昭和大学大学院 薬理学)
  • 熊井 俊夫(聖マリアンナ医科大学 大学院遺伝子多型・機能解析学)
  • 大段 秀樹(広島大学 大学院先進医療開発科学講座外科学)
  • 橋本 有弘(独立行政法人国立長寿医療研究センター 研究所再生再建医学研究部)
  • 清野 透(独立行政法人国立がん研究センター 研究所ウィルス部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
22,091,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒト組織を外科的に採取し、適切にかつ十分量を広く研究者にヒト試料として提供できるよう公共バンクと連携した保存・管理するためのシステム構築の検討を行う。特に我が国で遅れている各科を横断的にまたがるシステムを検討し、将来わが国の各医療機関でも構築が可能なヒト組織提供モデルシステムを研究することが目的である。具体的には、生検骨格筋及び摘出肝組織を対象とする。
研究方法
1)骨格筋及び筋芽細胞提供医療施設内の試料と情報の管理システム整備(国立精神・神経医療研究センター)
2)筋芽細胞の不死化及び分化能の検討(国立精神・神経医療研究センター)
3)肝組織等提供医療施設の試料と情報の管理システムの整備(聖マリアンナ医大, 広島大学)
結果と考察
1)平成23年12月末現在で、総凍結筋は12,743検体に達し、このシステムを基盤にして患者骨格筋から筋芽細胞を樹立し、その数は1207検体に達した。これらの試料を用いて、先天性ミオパチー、ミトコンドリア病等の筋疾患の病態、治療研究の成果が上がった。
2)代表的な筋疾患患者由来筋芽細胞に、変異CDK4+Cyclin D1+hTERTを導入して細胞を不死化させた。さらに不死化した細胞の筋分化能、染色体安定性を検討し、筋細胞以外での脂肪細胞、軟膏細胞、骨細胞などへの多分化能を保持しており、加えてiPS細胞も樹立できた。筋芽細胞からのiPS細胞樹立の方法も確立した。
3)聖マリアンナ大学、及び、昭和大学では、肝組織の収集を継続しており、学内のシステムが周知され協力が得られる体制が確立できた。また広島大学では、本人の肝細胞を本邦で初めて公的資源化することに成功し、合計で8検体をHS財団に提供した。
結論
本研究により、筋レポジトリーの高度化を推進した。特に筋の不死化とiPS細胞樹立は、今後の筋疾患研究を一段と推進させるものと期待できる。また試料提供施設の運営に必要なノウハウが獲得できた。ヒト肝細胞の資源化が実現し、肝組織と合わせHSRRBへの試料提供を着実に行った。

公開日・更新日

公開日
2012-08-13
更新日
-

文献情報

文献番号
201108007B
報告書区分
総合
研究課題名
ヒト組織・細胞の研究資源としての高度化と公共ヒト組織・細胞バンクシステム利用促進に関する研究
課題番号
H21-政策創薬・一般-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
後藤 雄一(国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 西野 一三(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第一部)
  • 小林 真一(昭和大学 薬理学)
  • 熊井 俊夫 (聖マリアンナ医科大学 大学院遺伝子多型・機能解析学)
  • 大段 秀樹(広島大学 大学院先進医療開発科学講座外科学)
  • 橋本 有弘(独立行政法人国立長寿医療研究センター 研究所再生再建医学研究部)
  • 清野 透(独立行政法人国立がん研究センター 研究所ウィルス部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒト組織を外科的に採取し、適切にかつ十分量を広く研究者にヒト試料として提供できるよう公共バンクと連携した保存・管理するためのシステム構築の検討を行う。特に我が国で遅れている各科を横断的にまたがるシステムを検討し、将来わが国の各医療機関でも構築が可能なヒト組織提供モデルシステムを研究することが目的である。具体的には、生検骨格筋及び摘出肝組織を対象とする。
研究方法
1)骨格筋及び筋芽細胞提供医療施設内の試料と情報の管理システム整備(国立精神・神経医療研究センター)
2)筋芽細胞の不死化及び分化能の検討(国立精神・神経医療研究センター)
3)肝組織等提供医療施設の試料と情報の管理システムの整備(聖マリアンナ医大, 広島大学)
結果と考察
1)平成21-23年で国立精神・神経センターに登録されている凍結筋は1889検体を加え12743検体となり、また筋芽細胞は276検体を加え1207検体に達した。それらを用いた研究成果を着実に報告した。
2)代表的な筋疾患の不死化筋芽細胞の作製に成功し、その増殖能、分化能などを検討した。さらに筋芽細胞からiPS細胞を樹立することにも成功した。
3)肝組織、肝細胞については、聖マリアンナ大学、昭和大学、広島大学の3つの提供施設内における試料と情報管理システムの構築を行い、そのノウハウの蓄積が他の試料提供機関の参考になると考えられた。広島大学では、平成21年~23年で肝組織検体15例、肝細胞8例をHS財団(HSRRB)に提供した。
結論
本研究により、筋レポジトリーの高度化が推進できた。また試料提供施設の運営に必要なノウハウが獲得できた。ヒト肝細胞の資源化が実現し、肝組織と合わせHSRRBへの試料提供を着実に行った。研究者のニーズに合った科学的妥当性があるヒト研究資源を確保する事業は今後の医学研究において不可欠であり、薬物開発やバイオマーカー探索などで諸外国と先を争う競争においても我が国の研究基盤として重要課題である。

公開日・更新日

公開日
2012-08-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201108007C

収支報告書

文献番号
201108007Z