創薬に向けたバイオマーカー探索研究に資するヒト組織及びヒト組織由来細胞の供給・品質の向上に関する研究

文献情報

文献番号
201107013A
報告書区分
総括
研究課題名
創薬に向けたバイオマーカー探索研究に資するヒト組織及びヒト組織由来細胞の供給・品質の向上に関する研究
課題番号
H23-バイオ・指定-007
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
吉田 東歩(財団法人ヒューマンサイエンス振興財団 研究資源バンク)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 元信(財団法人ヒューマンサイエンス振興財団 研究資源バンク )
  • 佐藤 貴繁(株式会社 プライマリーセル)
  • 清水 恭子(株式会社 プライマリーセル)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
86,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
バイオマーカー探索研究には、疾患・病態を反映したヒト組織や対照となる正常組織が必須の材料である。国内では研究用ヒト組織は手術摘出組織に限定され、提供量は少量である。今回の研究では、高品質のヒト組織・細胞を調製する技術を開発し、それらを研究者へ効率的に供給するヒト組織バンクシステムについて検討した。このシステムを整備することにより、研究者がヒト組織・細胞を利用しやすくし、効率的な創薬研究の促進に貢献することを目指す。
研究方法
新鮮組織の供給システムの整備については、研究機関に対するニーズ調査を行い、利用希望の高い組織・細胞、提供者の診療情報等について医療機関と協議した。新鮮組織の保存性・輸送法の検討として、バンクから供給した新鮮組織について輸送後の組織の状態、利用結果を検証した。新鮮組織から細胞の調製の検討には関節リウマチあるいは変形性関節症患者由来の滑膜組織と消化器癌手術で摘出された内臓脂肪組織を用いた。細胞の高品質化の検討には、各種ウイルスの否定試験、滑膜細胞の炎症性サイトカインに対する反応性、脂肪前駆細胞の分化、滑膜細胞および脂肪前駆細胞の間葉系幹細胞としての性状等を調べた。新規培養技術の関発については脂肪組織由来の幹細胞の調製法、ヒト正常間葉系幹細胞の分化能、筋芽細胞の分化能等を検討した。ヒト組織・細胞を安定的に輸送するための温度調節機能をもつ保存容器・輸送容器等を検討した。
結果と考察
平成23年度は、利用希望が多く、海外からの輸入が困難である新鮮組織の種類、診療情報を増やし、50試料の新鮮組織(大腸、胃、食道、内臓脂肪、皮膚、臍帯、滑膜)を主として製薬企業へ供給した。滑膜、内臓脂肪組織からそれぞれ滑膜細胞および脂肪前駆細胞を効率よく調製する方法を確立し、調製した細胞について品質管理試験を行い、機能性状や分化能を調べた結果、手術摘出組織から高品質で十分量の研究用細胞が調製できることを明らかにした。ヒト組織・細胞を高品質化する無血清培地等の培養技術、効率的に研究者に供給するための温度調整機能を持った輸送容器の開発に成功し、ヒト由来研究資源の有効利用につながる技術とした。

結論
国内では当バンクが唯一実施しているヒト新鮮組織の供給事業を効率的に運営するため、組織の採取、保存、輸送、加工、品質管理に関する技術を検討し、ヒト組織・細胞の供給体制の確立と拡大を行い、我が国におけるヒト試料利用環境を整備に貢献した。

公開日・更新日

公開日
2012-07-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201107013Z