難治がんの創薬バイオマーカー探索研究

文献情報

文献番号
201107005A
報告書区分
総括
研究課題名
難治がんの創薬バイオマーカー探索研究
課題番号
H20-バイオ・一般-012
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山田 哲司(国立がん研究センター研究所 創薬臨床研究分野)
研究分担者(所属機関)
  • 金井 弥栄(国立がん研究センター研究所 分子病理分野)
  • 近藤 格(国立がん研究センター研究所 創薬プロテオーム研究分野)
  • 中山 敬一(九州大学生体防御医学研究所)
  • 本田 一文(国立がん研究センター研究所 創薬臨床研究分野)
  • 柴田 龍弘(国立がん研究センター研究所 がんゲノミクス研究分野)
  • 浅村 尚生(国立がん研究センター中央病院 呼吸器腫瘍科)
  • 小菅 智男(国立がん研究センター中央病院 肝胆膵腫瘍科)
  • 竹内 雅博(アステラス製薬株式会社 研究本部 薬理研究所)
  • 工藤 雅文(アステラス製薬株式会社 研究本部 薬理研究所 癌研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
29,040,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、難治がんの外科切除標本を用い、質量分析・蛍光二次元電気泳動・エクソンアレイなどの統合的なゲノム・プロテオームの手法で大規模な定量発現解析と機能解析を行い、がん細胞の生存・増殖に必須な膜タンパク質・酵素・シグナル伝達経路などを同定し、これらの分子(分子経路)の機能を阻害する化合物・抗体医薬を開発することを目的としている。
研究方法
肝細胞がん、肺がん、胃スキルスがん、膵がんなどの難治がんの外科切除標本を用い、質量分析・蛍光二次元電気泳動・エクソンアレイ、逆相マイクロアレイ法などのゲノム・プロテオームの手法で大規模な定量発現解析と機能解析を行い、がん細胞の生存・増殖に必須な膜タンパク質・酵素・シグナル伝達経路などを同定し、これらの分子(分子経路)の機能を阻害する化合物・抗体医薬を開発することを目的とする。特に創薬標的として有望なキナーゼを同定するため、リン酸化タンパク質の定量、遺伝子変異解析を行った。
結果と考察
治療標的探索のため、エクソンアレイを用いた遺伝子発現とsiRNAをもちいた複合解析、エクソンごとの発現解析によるスプライスバリアント解析、蛍光二次元電気泳動を用いたプロテオーム解析、さらに逆相マイクロアレイ法などの統合された所謂オミックス解析を臨床検体を用いて行い、治療標的・バイオマーカー分子を探索した。肝細胞がんのソラフェニブ感受性との間の相関解析により、ソラフェニブの奏効性を予測するマーカー候補を見出し、実際の臨床例で有用性を検証した。さらにDNAメチルトランスフェラーゼ発現に基づく精巣胚細胞腫瘍の予後診断指標、門脈侵襲陽性症例の原発腫瘍組織に特徴的なタンパク質を同定した。また、抗体ライブラリーを用いた実験において、核酸配列からは推定されない分子量で存在するタンパク質が肝細胞癌の腫瘍組織で多く認められることを見出した。質量分析を用いてリン酸化タンパク質を定量するPhospho-mTRAQ法技術の基盤を確立し、要素技術の開発を行った。
結論
ソラフェニブ抵抗性細胞株では本マーカー候補分子のリン酸化レベルが高く、またソラフェニブ治療を受けた肝細胞がんの患者由来の生検試料においても、治療効果の見られなかった症例で強いリン酸化が認められた。従って、治療効果の期待できない患者を予測するマーカーとなることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2012-07-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201107005Z