プロテオーム解析による糖尿病性細小血管症の早期診断マーカーの探索

文献情報

文献番号
201107002A
報告書区分
総括
研究課題名
プロテオーム解析による糖尿病性細小血管症の早期診断マーカーの探索
課題番号
H20-バイオ・一般-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
春日 雅人(独立行政法人国立国際医療研究センター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 野田 光彦(独立行政法人国立国際医療研究センター 病院)
  • 鏑木 康志(独立行政法人国立国際医療研究センター 研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
25,110,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年急増している糖尿病は、慢性的な経過で糖尿病性細小血管症を引き起こし、重篤な合併症をきたす。本計画では、健常者及び糖尿病患者の血清、尿の採取と同時に詳細な臨床情報を収集し、プロテオーム解析によって得られた糖尿病性細小血管症関連蛋白の発現プロファイルと比較することよって、糖病性細小血管症の早期診断マーカーの開発を目指す。
研究方法
本施設、協力医療機関の富山大学付属病院及びJR東京総合病院にて、糖尿病患者1200名及び健常者600名を目標に血清及び尿を収集すると共に、糖尿病性細小血管症の進行度を含む臨床情報を収集する。また、血管内皮細胞等のin vitro実験系や糖尿病モデル動物のトランスクリプトーム解析、糖尿病患者尿のプロテオーム/ペプチドー厶解析からマーカー候補蛋白をリストアップし、これらの分子の細小血管症マーカーとしての意義をtargeted proteomicsの一法であるMRM法にて検証する。
結果と考察
高ブドウ糖処理した内皮細胞や糖尿病モデル動物の腎組織等でのトランスクリプトーム解析の結果、総計500個以上の糖尿病性細小血管症マーカー候補蛋白をリストアップした。これらの蛋白を効率良く定量するために、4000 QTRAP (AB Sciex)を用いたMRM測定系を確立したが、測定可能なレベルは100 ng/mlオーダーで低濃度の血清蛋白の測定は困難なため、年度末により高感度の5500 QTRAPを導入した。尿検体については、LC-MS/MSでの網羅的解析にてペプチド1500個以上、蛋白1400個以上の検出が可能となり、さらにiTRAQ法での解析により腎症の各病期にて有意に変動するマーカー候補尿蛋白が40個以上同定された。また、2型糖尿病マウスモデルの血清あるいは尿のプロテオーム解析から、糖尿病発症早期に発現が増加して血管内皮細胞での透過性亢進の活性を有する蛋白を見いだしており、それ以外で有意に変動する蛋白についても細小血管症発症と関連しうる生理活性を有する分子を探索中である。
結論
培養細胞での in vitro実験系や糖尿病モデル動物からリストアップされたマーカー候補蛋白から糖尿病性細小血管症マーカーとしての有用性のあるマーカー蛋白が発見されれば、臨床の現場で糖尿病性細小血管症の早期治療、治療の効果判定等に広く用いられることが期待され、その意義は大きい。

公開日・更新日

公開日
2012-07-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201107002Z